内容説明
仕事が終わらないと書類を机の中に隠して見なかったことにする。お客さんから預かったお金や会社の備品は自分のもの。営業成績を上げるためならお客さんの奥さんにも手を出し、結果その家庭が崩壊しても気にしない。これらはすべて、筆者が勤めるブラック会社に実在している社員である。ブラック会社には、人知を超えた、モンスターのような行動をとる社員があまた存在するのだ。本書は、そんなモンスター社員たちが巻き起こす事件を解決すべくブラック会社でひとり法務部員として奔走する著者の戦いの記録である。
目次
借金を踏み倒して、給料を差押えられた社員
客から預かった申込金を自分の懐に入れる社員
突然、「契約社員になれ」と正社員に言う社長
「ふふふふ」と笑いながら粉飾決算を行う社員
耐震性の不足を計算で誤魔化す社員
業務上横領が横行している会社
360万円もの損害を出しても悪びれない社員
「借りただけだ!」と使い込みを誤魔化す社員
銀行を騙して出入り禁止になった社員
社員の逮捕を顧みず、違法行為を強要する会社
社内融資を騙し取ろうとする社員
「仕事無くなれ!」と机に書類を隠す社員
客の奥さんと寝て契約を取る社員
嫌がらせの責任を転嫁し、逆切れしてくる客
理不尽な理由をつけて金を取り戻そうとする客
架空口座で4千万円を騙し取ろうとする取引先
懐が深すぎるブラック会社の社長
しぶとく生き残るブラック会社
おわりに(ブラック会社の法務部心得帳)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
磁石
17
現代にはモンスターが多数生息している。勇者が欲しいところだけど、一匹でも倒せば総崩れ、余りにも脆すぎ/危うすぎる。どこもかしこも誰もが、モンスターにならなければ生きていけないから。それがブラック会社。コンプライアンスなんて知りません、法律なんてもっと知りません、その場のノリで動く。粉飾決済当たり前、金をチョロ任せて何が悪い、口に出さなければ無問題。いつかはやりたい脱税、でも今は火の車、もう棺桶に肩まで浸かってる。法務課だけが最後の砦。……心労で倒れないように。2016/10/10
ちゃか
1
「ブラック会社の法務は探偵仕事も十分に業務範囲です」。いや、すごかった。「申込金を懐に入れる社員」「借りただけと使い込みをごまかす社員」などなど。他人事だと思っていられるから笑えるけど、実際にいたら大変だろうし、不動産でいろいろ客側に不利益が、とか見るとおっかないなぁ、と。ただ、後書きを見ると「イイハナシダナー」と言ってしまいそうな不思議。これがブラック企業マジックか…… 2012/06/01
loro
0
ブラック会社と、モンスター社員の間で板挟みされる零細企業のただ一人の法務部社員が書いた話。淡々とした文章に正論と毒が盛られており大変面白い。 序盤は小気味よく笑って読めるけど、リアルに魔物社員がいて穏やかではなくなる。 法的な話を分かりやすく説明してくれるので、法学の勉強にもなり、世界不況の話までよくわかる。2014/04/12
オカピー
0
ブラックな企業には、ブラックな社員が集まるということか。どんな会社でも、ブラックな部分は有ると思うが、ここまで来ると笑ってひきつって読んでしまいました。少しでもコンプライアンスを意識して、会社を良い方向にもっていって行くのが、働いている者の努めではないかと思う。2013/12/08
machalatte
0
人が働く理由はいろいろあって、著者のブラックでも会社が好きだから働くというあとがきは正直すごいと感じました。2012/11/04
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