感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rinakko
11
再読。映画「ダゲレオタイプの女」についてねぶねぶ思いを馳せていて、ふと読み返したくなったという…（わかりやすいな私）。銀板写真、愛する人の死、見失いそうな幽し境界…。併録の「The widow of fisherman can't stop knitting」も、とても好きな作品。“僕が死んだら僕のことを写真に撮っていいし、それを永遠にあなたのものにしてもいいけれど、――それでも、”2016/11/03
ネロ
10
再読です。鳩山さんの作品の中でもかなり重厚な描き込みとストーリー。表題作の「ダゲレオタイピスト」よりも「The widow of fisherman can't stop knitting」が好みです。漁に出たまま戻らぬ夫を待ち続ける女のもとに、ある日喪服の魔女のような女たちが現れます。そして手首に無理矢理銀の毛糸籠をつけ、〈模様〉を編むよう命じます。模様を編み始めた女の顔には生気が戻りどんどん美しくなっていくのですが…ケーブル、ラダー、モスなどのパターンが作り出すイメージが美しく、見入ってしまいます。2013/02/08
芍薬
9
かなり前から気になってた一冊。繊細な絵と物語。夜の水面が美しい。2012/04/29
オシャレ泥棒
4
湖で弟のダニーを亡くしたアーネスト。彼の家を訪れたのは死者の姿を銀版に写し取るダゲレオタイピスト・フレイザー。孤独と自責に苦しむアーネストは、ダゲレオタイプに救いを求める。百年以上の時を経て銀版の上に蘇った魂の行方は。併録は「The widow of fisherman can't stop knitting」。漁師の夫を亡くした妻は、生成りの毛糸で魚網模様（フィッシュネットパターン）を編み、海を彷徨う夫の魂を求める。不吉な雰囲気を漂わせながらも、登場する様々な模様（パターン）が素敵。2018/09/07
ナナシ
4
毛糸を入れる銀の籠。銀板写真。漁師の夫の為に編んでは濡らして縮め、編んでは濡らして縮め、重く固く何も通さぬ様に編み上げた鉄のセーター。かつてあったもの、今は無いもの。2012/02/29
