感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とんかつラバー
11
纏足に興味があって読んだが、纏足以外にも宦官(去勢)、肉食を否定する新興勢力の教育(中国にそんなものあるの?)などとにかく濃いモチーフがちりばめられた話だったが内容は全く分からなかった。ただ耽美でフェティッシュな世界観はすごかった。カストラートはヨーロッパにもいたけどさらに纏足されたグロテスクな人工美。2023/11/25
メイ&まー
9
永遠にしぼむことのない卵、その殻が砕かれるとき…どこからがはじまりで終わりなのか分からなくなる。物語を引き寄せる手掛かりが豊富でないから何度でも読む。読むたびに色味を変える物語。本作は、絶頂期より半世紀経って永遠の一歩前まで膨らみきった(ぷにぷに)シャーロットと、彼に引き寄せられたマオとの物語。そして食肉に魅せられたシューリーと彼に交換条件つきで肉を調達するインアルの物語が絡まって、官能的でグロテスク…やっぱり謎にみちた一冊だった。2013/08/28
そのじつ
5
稲垣足穂的世界なのか(足穂は数ページで投げたクチ)。好事家が高値で取り引きする貴重な標本みたいな作品。外骨格の珍奇な美しさが印象的な蟹の樣だが、中の肉は他の生命体と変わらない。自分の役回りを器用に演じていた少年は己の立場を真に理解し、生贄の姿を露わにする。お仕着せの主義に諾々と従う子羊に見えていた少年は、そのシステムの真意と真っ向から向き合う強かな精神の持ち主だった。それぞれの生き様は現実とかけはなれていない。美しく印象的だけれども。2012/11/03
海亀
5
あの皆川博子氏が「自分で小説にしたい作品」と絶賛した知る人ぞ知る怪作。(皆川氏と鳩山氏は直接お会いしたそう) 「君は僕の肉体を食べてしまったんだ。だから実際には僕の肉体という容器は君の目の前には存在しないんだよ」という衝撃的な台詞。シノワズリ、てん足、寄宿舎、少年、カストラート、肉を食べるという抗い難い禁忌・・・なるほど。皆川氏が鳩山氏と繋がるのも必然かもしれない。いつかお二人の共同作品が読みたいと強く思う。カバーが一新される前の初版にて読了。シルバーを薄くかけたビビッドなピンクに青色の装丁が素晴らしい2011/05/22
お茶
4
子供の美しい声をいつまでも出させるために、少年の頃に去勢された歌手のことをカストラートと言う(うろ覚えだが)。カストラチュラの登場人物はみんな、様々な形で他人の満足の為に去勢されて、歪んで怪しげな輝きを放つ。人工的に歪まされたものは美しい、見慣れた硬貨でもへしゃげて面白い形になれば、たぶん僕だったら十分か、三十分か、一時間くらい眺めていられると思う。その間はお気に入りの絵や本の隣に並べたり上に乗せたりしながら楽しめるだろう。面白い、話の感じはやっぱガロ作家。神秘的つーか美しいつーか、絵が綺麗2014/07/13