目次
第1章 最悪の日中関係(尖閣諸島国有化への抗議行動勃発;国有化で危険水域に;懸念される経済への影響)
第2章 過去をふりかえる(固有領土論のいかがわしさ;米国の曖昧戦略―戦後秩序の論点;「棚上げ」の歴史と記憶)
第3章 国際関係のなかの尖閣諸島問題(中国に内在する論理を解明する;日中関係―強まる相互不信;対中ポジション探る米国)
第4章 領土と国家の相対化(台湾と両岸関係;日米中の均衡ある発展を;境界を越える意識と文化)
資料 日中台が各々領有権を主張する根拠
感想・レビュー
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加藤久和
4
尖閣諸島を巡る日中の主張を冷静に検証している。日本側の主張は1895年に尖閣の現地に標杭を建設することを閣議決定し正式に領土編入したというものだが、実際に標杭が建てられたのは74年後の1969年だったことは記憶しておいていいかもしれない。著者は尖閣問題の解決のための一案として台湾の馬英九総統が唱える「東シナ海平和イニシアチブ」を紹介する。馬総統は「領土と主権は分割できないが、天然資源は分けることができる」とし、領土争いを棚上げし台湾、中国、日本の三者で資源の共同開発を進めることを訴える。魅力的な構想だ。2013/02/26