内容説明
ドイツという怪物をコーヒーで読み解く。
目次
第1章 アラベスクな風景
第2章 医学と音楽と文学の国
第3章 土地なき民
第4章 黒い原点
第5章 総力戦
第6章 二十世紀の三十年戦争
第7章 アウシュヴィッツのコーヒー
第8章 極東の総力戦と一杯のコーヒー
著者等紹介
臼井隆一郎[ウスイリュウイチロウ]
1946年福島県生まれ。東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了。新潟大学教養部助教授を経て、東京大学大学院総合文化研究科教授。現在、東京大学名誉教授。専門は、文化学、ドイツ・ヨーロッパ文化論、言語情報文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はやしま
14
著者の世界史観が纏められた労作。コーヒーは常に前面に出ているわけではなく、欧州と中東地域の関係、欧州諸国(独英)の対外拡張行動ー奴隷制とプランテーション、南米への独の進出ー、交易、対立、その所々にコーヒーがアクセントとして上手く絡められている。書籍名からいきなり第二次大戦とナチスのことが書かれているかと思いきや、古のアラブの話や旧約聖書やヘブライ語などに言及し、そうした事柄や地域が後世に絡められ、上手く構成がなされている。少し違う角度から世界史を眺められるユニークな一冊。2017/04/27
魚京童!
9
アウシュヴィッツはわからなかったが、スーフィズムは良いと思う。ハーフィスとかいいよね。2024/11/09
ワッピー
7
コーヒーとドイツを軸に近現代史を展開。植民地と安価な労働力の必要性がもともと出遅れたドイツを駆り立てたこと、そして何をするにも徹底する国民性が代用コーヒーを発展させたというあたりは、前著「コーヒーが廻り、世界史が廻る」でも触れられていましたが、ドイツがヨーロッパで勝ち残るための世界戦略、そして総力戦へなだれ込んでいった経緯が説かれます。コーヒーを生産するには労働力がいることは知っていましたが、この軸と絡めることで、このように苦いものになろうとは・・・コーヒーが飲める自由は尊いと感じます。2017/01/21
*
5
珈琲の歴史を紐解くことで、現在の国際問題にもつながる中東、欧州の交流が見えてくる。コク深い、いや奥深い。しかし読んだ後は、やっぱり苦さが舌に残る。列強国が植民地政策、あるいは総力戦体制において重ねてきた罪の味だろう。また句読点が少ないのは引っかかるが、ブラックの酸味と同じで慣れが肝心。お気に入りの珈琲を飲みながら、じっくりと読み進めるべし!2017/12/05
風見鳥
1
歴史書と言うには個性的、文化史と呼ぶには広範な、読み応えのある書籍です。「ナチの収容所でコーヒー?」という1つの疑問文から始まる本書は、強烈な違和感を放つその背景への解答として、ドイツ地域よりはコーヒーに重心を置き、その歴史を発祥から辿ります。コーヒーを通行証として著者は世界中の土地へ読者を案内してくれますが、世界貿易の妙技として、地理にも不思議な宿命を感じずにはいられません。時代の縦糸と地域の横糸が交差する中に浮かび上がる、コーヒーとゲルマン民族、そして中東から発したユダヤ人の軌跡は、一見の価値ありです2023/10/04
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