内容説明
黒船・蒸気車・異人さん。ニッポンがまだ初々しかった時代の横浜市井人情譚。来港した異人の珍道中から、軽業師の一座とサーカスの出会いを描いた表題作まで“御一新”の時代を活写した短編時代小説集・読み切り三部作(第三部)。
著者等紹介
岩崎京子[イワサキキョウコ]
1922年、東京生まれ。短篇「さぎ」で日本児童文学者協会新人賞を受賞。『鯉のいる村』(新日本出版社)で野間児童文芸賞、芸術選奨文部大臣賞、『花咲か』(偕成社)で日本児童文学者協会賞を受賞
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感想・レビュー
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katsukatsu
11
7月に亡くなられた岩崎京子さんの一冊。幕末から明治へと向かう時代、東海道の川崎宿と神奈川宿の間にあった鶴見村、一膳めし屋「ろくいむ」の娘おけいの視点で、ペリー来航、生麦事件、鉄道開通といった出来事に関わった村の人たちが描かれていきます。お伊勢参りや西洋野菜の栽培といった当時の村人たちの関心事も。古文書をもとによみがえる当時の人々の姿は生き生きとしていて、村人たちの考えることが、今の時代に生きる私たちの考えと、どこか重なり合って、似ているような感じが。いつの間にか鶴見の街道沿いに自分がたたずんでいました。2025/09/14