感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ochatomo
19
中村哲氏の初著書 1984年赴任からのパキスタンでの活動とイスラム社会事情を解説 トラブルへの対処が深い 患者のため麻ひもバッグ作りを援助し染色する病棟エピソードが心に染む 『化け物のような“トウキョウ”』日本への落胆が後半感じられた 1989年初版に、この1992年増補版は“湾段戦争”の章を追加 あとがきで『我々はあらゆる立場を超えて存在する人間の良心を集めて氷河となし、騒々しく現れては地表に消える小川を尻目に、確実に困難を打ち砕き、かつ何かを築いてゆく者でありたいと、心底願っている。』2020/01/13
けんちゃん
15
先に澤地久枝さんとの対談を読んだのですが、ご本人の本は初読み。いろいろな活動をされている中村さんですが、これは初期の本。政治的思惑、宗教的対立、現地住民と奉仕する者の大きなギャップの中で多数の癩(あえてハンセン氏病と言わないのです)患者に対して純粋に医療活動を行うことの困難さを感じることができます。何よりアフガン事情の複雑さ、この本の刊行(1989年)から20年以上たってもなお多くの問題が継続中のこの地域に同じアジア住民としてあまりに関心の薄かったことを反省させれれています。2011/09/27
南の島
1
会社同僚より借りた本。土地柄、歴史や社会情勢が分かりにくいけど、アフガニスタンに入っていく中村医師の姿に感服。2020/01/17
Tasuku Seo
0
医師としてライ病にどのように向き合っていくのか内面の葛藤を素直にそして知的に吐露している箇所が印象に残る。マスとしての病のコントロールと患者一人一人と向き合いが時として対立する葛藤(P41)、ライ病という語のあえての使用(P106)、医師という立場と事業の経営者としての葛藤。それでもなぜ彼はペシャワールに関わるのか。その一端が現地の人たちなんだと思う。「彼らはどこか憎めぬ魅力がある。~略~良いことも悪いことも、強さも弱さも、単純で解り易く、天真爛漫に性悪でかつ貴族的な高貴さを秘めているのである」(P55)2022/02/23