内容説明
近江には、河童、天狗、一つ目小僧、大入道などよく知られた妖怪ばかりでなく、先食鳥、木娘、おたまさん、二丈坊、牛鬼、亡霊子、蓑火…、淡海特有の妖しいものたちがいる。筆者が興味のままに文献や伝承から渉猟する中で出会った、バケモノたちの痕跡を丹念に紹介。
目次
高橋敬吉と妖怪
城下町と妖怪
多賀参詣曼荼羅の妖怪
金太郎と酒呑童子
天狗
河童
英雄と妖怪
入道・坊主
怪火
幽霊
龍蛇に変身する女
妖怪の姿
著者等紹介
杉原正樹[スギハラマサキ]
彦根市生まれ。法政大学法学部卒。有限会社北風寫眞舘代表。情報紙DADAジャーナル編集人。地域の未評価の文化資源や儚いもの、気づかなければ失われてしまうもの、道草が好き。妖怪歴30年(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田中峰和
6
彦根藩の元藩士の7男として生まれた高橋敬吉が井伊家に関わる古文書を解読した「彦根藩士族の歳時記」をもとに、妖怪にかかわる部分をまとめられている。紹介される妖怪は近江だけに存在するわけでなく、全国で見られるものが多い。河童や天狗、ショウケラ、大入道などの全国区とは別に、木娘、おたまさん、二条坊、牛鬼、亡霊子、蓑火など滋賀特有の妖怪も多い。イラストのタッチは、水木しげるに近いが、妖怪を普遍化した人物の作品に影響を受けても仕方ない。2024/02/21
りんご
3
滋賀県の風土記のようなもので妖怪の話が集められてます。たまにはこういう本も楽しいです 2024/08/25
わ!
2
とても面白い…。例えば「大阪怪談」などで、地元密着型のホラーを読んだりしていたが、妖怪の方が、幽霊よりも、より地域に密着するだろうことは、日本の民俗学を立ち上げた柳田翁が「妖怪談義」に書いている通りだ。つまり妖怪の話は、土地々々の話に直結するわけである。だからこの本の様に淡海(おうみ=滋賀県)の妖怪譚を収集して並べた本には、滋賀県の様々な場所の伝説が集められることとなる。妖怪の話が、意外にも神社の縁起に数多く関係していることが面白い。なるほど柳田翁が、妖怪を零落した神だと言ったのも頷けるような気がする。2024/01/06