感想・レビュー
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まると
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戦前に学術研究のため掘り返され、北大に標本として保管されているアイヌの遺骨。子孫の一人がひょんなことから北大での保管を知り、職員から返還の確約を得たが、その後はないがしろにされてしまう。遺骨の主・平取の首長だったペンリウクが憑依したかのような、苦悶に満ちた前半の叙事詩と後半の北大との往復書簡を読み、怒りとやるせなさが増幅してきた。21世紀の今になっても、死者と子孫の尊厳を踏みにじるこんな状況がまかり通っていることに驚きを禁じ得ない。多くの人に読んでもらい、この問題に対して憤りの声を上げてほしいと切に願う。2021/09/30