出版社内容情報
本書は19歳で亡くなったアイヌの女性・知里幸恵の青春の物語。幸恵は「ア
イヌ最後の最大の叙事詩人」である祖母・モナシノウクの懐で聞いたアイヌの
世界を『アイヌ神謡集』という本に書き残して夭折。著者が30年にわたって幸
恵を追いもとめ、アイヌ世界の伝承を体現した幸恵の生涯を入念に描いた決定版。
ぷろろーぐ
1 東京で死んだアイヌの少女
2 知里家と金成家
3 アイヌにもあった創氏改名
4 ヌプルペッ=登別の少女
5 コタンに咲く花
6 秘話一つ
7 新しい母校
8 「知里幸恵は旧土人なり」
9 「海が懐かしくて……」
10 「近文の一夜」
11 十七歳のウエペケレ
12 「此の砂赤い赤い」
13 幸恵恋譜
14 『炉辺叢書』
15 『ウタリグス』
16 東京へ・・少女の旅
17 Shirokanipe ranran pishkan
18 ハイタヤナ
あとがき
資 料(1~15)
1『アイヌ神謡集』 2「A様」 3「A2」 4「A3」 5ハイタヤナ
6アイヌ神謡集 序 7本間重より幸恵あて手紙 8知里なみから金成マツあて 葉書 9夢の秋 10 豊栄小学校創立一〇周年記念祝辞 11高等科一年の手紙 12近 文便り 13金成マツから金田一京助あて手紙 14-1知里幸恵発信手紙 14-2金 田一京助から幸恵あて手紙一覧 15知里幸恵年譜
「ぷろろーぐ」より
「銀の滴降る降るまはりに、金の滴
降る降るまはりに。」と云ふ歌を私は歌ひながら
流に沿つて下り、人間の村の上を
通りながら下を眺めると
昔の貧乏人が今お金持になつてゐて、昔のお金持が
今の貧乏人になつてゐる様です。
海辺に人間の子供たちがおもちやの小弓に
おもちやの小矢をもつてあそんで居ります。
「銀の滴降る降るまはりに
金の滴降る降るまはりに。」といふ歌を
………
(知里幸恵『アイヌ神謡集』大 ・8 郷土研究社版より)
最近はこの詩、耳にする機会が多くなった。若い人のなかには、ここ十数年、中学校の国語教科書に載っているので思いだす人がいるのでは……。
『声に出して読みたい日本語』(斎藤孝 草思社)という、よく売れている本がある。そのなかの「物語の世界に浸る」の章に、川端康成「伊豆の踊子」、紫式部「源氏物語」、芥川龍之介「蜘蛛の糸」などと並んでこの一節がある。それをみたとき、私は嬉しくなった。この詩を世におくった、″知里幸恵″という女性の生涯を長いあいだ追いかけてきていたので──。
知里幸恵は
知里幸恵生誕100年記念出版!
幸恵伝記の決定版
内容説明
だれにでも「青春」がある。これは19歳で亡くなったアイヌの女性・知里幸恵の青春の物語。幸恵は「アイヌ最後の最大の叙事詩人」(金田一京助評)である祖母・モナシノウクの「お婆ちゃん子」としてかわいがられて育った。祖母の懐で寝物語に聞いたアイヌの世界を『アイヌ神謡集』という本に書き残して夭折。このような伝承の形は、いまの日本では忘れ去られてしまった。本書は、著者が30年にわたって幸恵を追いもとめ、アイヌ世界の伝承を体現した幸恵の生涯を入念に描いた決定版である。
目次
東京で死んだアイヌの少女
知里家と金成家
アイヌにもあった創氏改名
ヌプルペッ=登別の少女
コタンに咲く花
秘話一つ
新しい母校
「知里幸恵は旧土人なり」
「海が懐かしくて…」
「近文の一夜」
十七歳のウエペケレ
「此の砂赤い赤い」
幸恵恋譜
『炉辺叢書』
『ウタリグス』
東京へ―少女の旅
Shirokanipe ranran pishkan
ハイタヤナ
著者等紹介
藤本英夫[フジモトヒデオ]
1927年北海道天塩生まれ。1950年北海道大学卒業
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感想・レビュー
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