ソウルからの手紙 韓国教会のなかで

ソウルからの手紙 韓国教会のなかで

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  • 商品コード 9784883230556
  • NDC分類 192.21

出版社内容情報

闘い続ける宗教家の姿
 著者は東大法学部をおえてから神学を修め、現に東京で牧会しているプロテスタントの牧師である。東京神学大学大学院在学中に、すでにソウルの延世大学連合神学大学に留学し、戦前朝鮮文学の紹介者として知られた金素雲氏の長女と結婚した著者は、やがて戦後はじめての日本基督教団宣教師として家族同伴33歳の若い身を再びソウルに運ぶ。やみがたい心情につき動かされた著者の活動を経済的に支えようとした後援会全員に、著者はソウルからの報告を送りつづけた。その期間は1937年3月から、79年10月にわたり、著者は最後に大統領出国命令で日本に帰る。朴正煕殺害の数日前のことである。
 本書はこの6年半にわたる通信の前半、75年12月までの手紙をまとめたものであって、著者は日本統治のなまなましい傷跡を見せつけられながら、買春観光、田中首相の日本統治礼賛、そして大統領夫人狙撃事件などに噴出する反日感情を痛みとともに受けとめソウル郊外の教会の協力牧師と韓国神学大学の2コマの講義を中心に、韓国との心の絆を結ぼうと努力する。けれども、この時期はまたそのまま朴正煕維新体制と重なり、著者は「韓国の政治体制が今いかにあれ、日本人と

第1信 韓国に遣わされて
第2信 日韓の深い溝
第3信 平和をつくりだす人
第4信 愛国心と信仰
第5信 共に生きる
第6信 噂と祝福
第7信 間違った歌
第8信 坊主頭になって
第9信 愛の実践
第10信 追われる日までとどまつて
第11信 ミッショナリー(宣教師)になりたい
第12信 矛盾した心
第13信 神の訓練
第14信 まず神の国と神の義を
第15信 罪を憎み、罪を負う
第16信 ヒユーマニティ(人間性)のための闘い

 本書は、日本基督教団の宣教師として戦後初めて韓国に派遣された澤正彦氏が、日本の後援会の人びとに宛てた通信16篇を編んだものである。かつて留学したこともあり、また夫人の実ニがある韓国へ再び渡った澤氏は、つぶさに見聞し体験したことを、ある時には苦渋にみちて記しながらも、感動をこめてこうも書いている。
 「日本人が、型にはめられた中でギクシャク生きるよりは、彼ら〔韓国の人びと〕のょうに噂と祝福で笑いとばして生きる方が人間らしいと思う。私も大分、韓国の人の噂と祝福に感化されて、楽天的になり、ユーモアを解する者になった」
 「日本の人達は〔一時帰国して〕韓国に行く私に大変でしょう、御苦労様という。しかし、いつの間にか、韓国のほうが住み易くなっている自分を発見する」
 ここに見られるような、韓国の人びとに注ぐ曇りなき視線と、「韓国の文化、自然、宗教、すべて韓国的なものへの愛着をもとう」とする澤氏の揺るぎない姿勢は、終始変らないものとして本書に流れている。
 この通信が書かれた1973年3月から75年12月にかけての2年半は、言うまでもなく韓国において、また日韓関係においても「激動の時代」の幕開けとも言える時期であった。すな

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