内容説明
絹は蚕がつくる繭の糸。麻は、アサの茎からとる繊維。綿は、ワタの実・コットンボール。光の色、土の匂い、植物の力。そして人の手と知恵。すべてそろって、きものが生まれる。
目次
第1章 養蚕は皇室がささえている(農業国としての日本;皇居で飼育される繭は小石丸 ほか)
第2章 植物力を生かしたきものづくり(絹―命を使い切る蚕と桑;麻―大地をよみがえらせる大麻 ほか)
第3章 季節がつなぐきものと自然(きものを着るとき、季節をどう考えるか;きものの柄は植物の霊気をまとう ほか)
第4章 蚕と稲が育てた日本の農業(一ミリも布を捨てない裁断技術;命をまっとうさせる―これが日本人の骨幹思想 ほか)
著者等紹介
中谷比佐子[ナカタニヒサコ]
共立女子大学文芸学部卒業。女性誌の編集記者を経て「秋櫻舎」を設立。きものを切り口に日本の文化、日本人の考え方の基本を学び、伝承を進めている“きものジャーナリスト”。農水省蚕糸業振興審議会委員を務めたこともある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふう
23
プラチナボーイ。まだ見ぬ憧れの絹である。農業と深い関わりを持つ養蚕の話は常日頃からの思いと重なる。和棉や麻の復権を願う思いにも共感。自然と生活からデザインを取り込んだ着物の美はまさにその通り。しかしご自分では縫われないのか、基本的なところで間違いがいくつか、脚注とも矛盾している。また、ほつまつたゑの段は眉唾。玉石混淆かと。2022/06/19
Humbaba
8
商売していく上で、値段というのは非常に重要なファクターとなる。外部から安価なものが流入するようになれば、自分も値段を下げるかあるいは別のものを育てる以外には選択肢がなくなってくる。しかし、そうやって全てを外部から購入するようになると、何かの理由により供給が止まったときに対処できなくなるというリスクを抱えることとなる。2013/09/13
めめんともり
0
麻・綿・絹を現場で実際に作っている人たちの話はとても興味深く面白い。丁寧に手間暇かけて仕事をしていて、その姿勢に敬服する。しかし、そうして作られた製品は当然値段も高くなるわけで、一般の人には手の届かないものになる。そして需要が減り、作り手も減ってゆく。この負のスパイラルをどう克服してゆくのかは、この本には書かれていない。2016/01/10
yuma
0
野良仕事と(一昔前の)きものには繋がりがあるように漠然と感じていたけれど、それが農を基本とした循環にあるのだと改めて思い知った。食べることと着ることは、農業的行為の一部。日本古来の糸と色は、米と同様に日本人の精神的拠り所である。2015/06/20
nyoppi
0
衣料のデザインについてはいつもみんなが気にしているけれど、なかなか原料のことまで気が回らない。生活の基礎になる衣食住の一つだから、着るもの一つもこだわりたいと思った。