内容説明
大化の改新後、大王家を中心としたクニづくりが進められる時代に生きた二人の青年―。一人は、先帝孝徳天皇の皇子で、中大兄の従弟である“有間”。そしてもう一人は、牟婁の浜で出会ったムラの若者“網代”。時代の波に翻弄されつつ、迷い、進む二人の若者を通して“生きる”ということの意味を問う―。
著者等紹介
古川昭一[フルカワショウイチ]
1949年8月1日生。1968年3月尼崎東高校卒業。1972年4月電電公社入社。1987年8月電電民営化でNTTとなる。2010年3月NTT退社(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てんてつ
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大化の改新の一連の流れの中で消されてしまった有間皇子。歴史の教科書ではお目にかかれないが、万葉集に納められた歌は結構有名かなと思う。大王の息子として生まれたたゆえ本人の意志と関係なく権力争いに巻き込まれていく。そんな生活に背を向け牟婁の里での網代との出会いが彼に自分の生き方を決意させる。しかし時代の流れはそれを許さなかった。学生時代皇子を扱った漫画を読み関心があったが、古代史の資料は読解困難だった。今回虚構が混じるものの史料をもとに余分な部分を削ぎ皇子の心の内面に焦点をあてた物語となっているのが良かった。2017/02/01