内容説明
ローマ字を日本の「国字」にする。この主張を、熱意をもって実現しようとした人びとがいた。そのための日本語の語彙・文体の整理は、1930年代の言語運動の一翼をになう。ローマ字を通じて「普遍」につながろうとしたこの運動は、時代に寄りそうことも、弾圧されることもあった。こうした運動の多面性を体現した、弁護士・森馥の軌跡をたどり、ついえてしまったかにみえる運動の歴史から、今をよみとく。
目次
序章 ローマ字運動はかがやいていたのか
第一章 森馥という人物
第二章 森馥の一九二〇年代―判事から弁護士、そして「統一主義」へ
第三章 森馥における言語運動の実践1―ローマ字運動への参加と「日本語をよくする会」の結成
第四章 森馥における言語運動の実践2―判決文口語化をもとめて
第五章 森馥における言語運動の実践3―「ことばひろい」と「ことばなおし」
第六章 森馥と「ローマ字運動の本質論争」―一九三〇年代後半の日本ローマ字会をめぐる社会状況
第七章 『口語辞典』をめぐって―「ことばなおし」の到達点
第八章 「大東亜戦争」下の日本ローマ字会、そして森馥
終章 敗戦後のローマ字運動・点描
著者等紹介
安田敏朗[ヤスダトシアキ]
1968年神奈川県生まれ。現在、一橋大学大学院言語社会研究科教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 和書
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