内容説明
フランコプロヴァンス語は、学術的文脈において19世紀後半に存在が指摘され、論争を経てひとつの「言語」として認知されるようになった。特定の民族・集団や歴史的一体性のある地域とは一対一で結びつかず、話者にはひとつの「言語」として認識されてこなかった言語に対する捉え方の変化が、20世紀後半以降、言語運動が展開するなかで、それに携わる人々の言語意識をどのように変容させているのか、さらにそれが言語の再活性化にいかなる影響を及ぼすのか。歴史・社会的背景の異なる地域や異なる成り立ちの運動を取り上げることで、そこで見られる言語の様々なあり方を提示する。
目次
第1部 言語再活性化における言語意識をめぐる問題とフランコプロヴァンス語(危機言語の再活性化と言語意識;フランコプロヴァンス語の社会言語学的状況;研究課題と調査法)
第2部 「フランコプロヴァンス語」の認知と普及(「言語学者」―「フランコプロヴァンス語」の創出;「公的機関」―「フランコプロヴァンス語」の公的認知;「民間言語文化団体・運動家」―ローカルな地域から「フランコプロヴァンス語」圏へ)
第3部 民間言語運動の進展と人々の言語意識の変化―フランスのフランコプロヴァンス語圏を中心に(サヴォワ地方における言語運動と言語の捉え方―言語の政治問題化と名称の競合;フランコプロヴァンス語圏西部地域における言語運動と言語の捉え方;「アルピタン運動」―地方を単位としない運動;民間言語運動に携わる人々の言語意識の変化と言語再活性化への影響)
著者等紹介
佐野彩[サノアヤ]
一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)。上智大学、共立女子大学非常勤講師。専門は、社会言語学(特にフランコプロヴァンス語研究)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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