内容説明
タイー族・ヌン族はいかに少数「民族」となり、ベトナム「国民」となっていったのか。国民国家との相互関係のなかで、分離にも吸収にも向かわないエスニシティのあり様を歴史的に明らかにする。
目次
第1部 王朝・植民地支配期の“トー”と・“ヌン”
第2部 革命運動とタイー族・ヌン族の貢献
第3部 土地政策と土地所有
第4部 教育の変遷
第5部 中国との関係
結論
附論1 中部高原のタイー族・ヌン族―1954年移住組
附論2 儂智高の語り方―中越国境少数民族の「英雄」と国家
著者等紹介
伊藤正子[イトウマサコ]
1964年広島市生まれ。1988年東京大学文学部東洋史学科卒業、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻から2003年博士(学術)取得。大東文化大学を経て2006年から京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
18
ベトナム山間部東北地方の中越国境地帯に居住する少数民族、タイー族・ヌン族に焦点を当て、ベトナム近代国家の建設過程において新たなエスニシティが創生されていく様を描く。また、国境を挟んだ中国側には、同民族である壮(チワン)族がいて、この三民族を合わせると2000万人ほどの人口になるようだ。中国の文革時の壮族のベトナムへの避難、中越戦争、国境での密貿易など、中国との関係におけるタイー族・ヌン族の内実はとりわけ興味深いものがある。◆こういう貴重な研究成果をきちんとアップデートして増補改訂版を出すのは意義深い。2023/08/22