出版社内容情報
小山亘[コヤマワタル]
著・文・その他/編集
浅井優一[アサイユウイチ]
編集
内容説明
翻訳とは、ある言語で言われたことを別の言語で言い換える、ただ、それだけのことなのか。近現代の翻訳を問い直し、その背後にナショナリズム、言語純粋主義、標準語中心主義などのイデオロギーを見出すことにより、方言、語用、相互行為などを含む、社会文化的なコミュニケーションの地平で翻訳―言語間翻訳、言語内翻訳、そして記号間翻訳―その全体を捉える枠組みを提示する。すなわち、本書は、翻訳を、社会文化空間の中で生起するコミュニケーションという出来事と、その連鎖が織り出す記号過程として描くことをとおして、今日の翻訳および現代翻訳研究の全体像を解き明かすものである。
目次
第1章 翻訳の記号論序説―社会、文化、そして言語にとって等価性とは何か(翻訳論と記号論;聖書解釈と近現代アメリカ・プロテスタント主義 ほか)
第2章 翻訳と翻訳研究の構成―記号論的考察(翻訳研究の「文化論的転回」とは何だったのか―記述学派とその批判について;言語復興運動の島々―オセアニア、ピジン/クレオール、エスニック・リバイバル ほか)
第3章 近代翻訳論の言語イデオロギー―言語構造、言及指示的テクスト、標準語(「(起点/目標)テクスト」とは何か
文献学的近代、単一言語ナショナリズム―対照ペアと分裂生成―言語の創出 ほか)
第4章 社会文化的な出来事としての翻訳―多様性、多言語性、翻訳不可能性(導入;ディスコース過程、テクスト化/コンテクスト化の社会記号論―擬似翻訳、擬似原典などに見られるメタ語用、ジャンル、間テクスト性 ほか)
結―多様性の翻訳/翻訳論に向けて
著者等紹介
小山亘[コヤマワタル]
1965‐。立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科教授。1987年同志社大学神学部卒業、1990年サンフランシスコ州立大学大学院修士課程修了(MA in TES/FL)、2003年シカゴ大学大学院博士課程修了(PhD in Linguistics)。専門は、言語人類学、記号論、社会言語学、翻訳論、コミュニケーション論、語用論、機能分法、など。The Journal of Pragmatics(アムステルダム/ニューヨーク)編集諮問委員、RASK(デンマーク、オーデンセ市)編集委員、社会言語科学会編集委員、立教・異文化コミュニケーション学会編集代表・事務局長・会長、などを歴任
浅井優一[アサイユウイチ]
1979‐。東京農工大学大学院工学研究院講師。立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員(DC2・PD)、順天堂大学助教を経て現職。東京大学非常勤講師(2021‐)、ハーヴァード・イェンチン研究所(Harvard‐Yenching Institute)客員研究員(2021‐2022)。専門は、文化人類学、オセアニア地域研究、言語人類学、記号論、ことばの民族誌、エスノポエティクス、環境ディスコース論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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