内容説明
イベリア半島の中世の記憶と、ヨーロッパ各地の版図を包摂しつつ、新大陸アメリカ、アジア太平洋にも広がった、ハプスブルク・スペインの世界帝国。かつては遭遇することのなかった人、モノ、情報の往来する回路が開かれ、美術作品も、歴史と地理の座標上を縦横に行き交うことになった。多様な文化の相互作用を深く刻み込んだ「交通する美術」を視座に国内外9人の研究者が示す最新知見。
目次
1 中世との接続(大モスクから大聖堂へ―中世イベリア半島キリスト教都市におけるイスラム建築遺産とその変容;中世アンダルス美術の遺産―その存在と不在を読み解く;「キリストの戦士」としてのサンティアゴ・マタモロスと拡大するイスパニア世界)
2 ハプスブルク・スペインとヨーロッパ(帝国スペインにおけるタピスリー―ネーデルラント総督マリアの仲介と「ブランド」の形成をめぐって;ポンペオ・レオーニとスペイン―エル・エスコリアル修道院聖堂主祭壇衝立の“磔刑”群像をめぐって;エル・グレコ、裸体表現の再検討―クレタからスペインへ)
3 世界帝国の美術(マドリード王宮のインカ王像―イメージのグローバルな交通と世界帝国の表象;新大陸アメリカにもたらされたアジアの「屏風/ビオンボ」―その流通と影響;大海洋を渡った日本の蒔絵螺鈿―マニラ、メキシコ、スペイン)
著者等紹介
岡田裕成[オカダヒロシゲ]
大阪大学教授。『ラテンアメリカ 越境する美術』(筑摩書房、2014年)、Painting in Latin America 1550‐1820(共著、Yale University Press、2014)。「“レパント戦闘図屏風”―主題同定と制作環境の再検討」(『香雪美術館研究紀要』2号、2019年)により第32回國華賞。スペインと植民地時代アンデス、メキシコの美術、アジア太平洋における美術の交通について研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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