内容説明
人間と自然とユートピアが出会う場所、人類にとっての根源的メタファーのひとつ、庭。豊饒崇拝や楽園イメージと結びつき、性愛の舞台となってきた庭園の文化史を先史時代から現代まで、文学や美術との関連と共にひもといてゆく。
目次
原史時代と古代の豊饒崇拝、エロティックな庭と神殿の森
ギリシア・ローマ時代の豊饒の森、神殿の庭、愛の園
騎士、放浪芸人、貴婦人への愛、中世の愛の園
ルネサンスの官能のよろこびに満ちた愛の園
太陽王の時代から艶なる庭園まで
シテール島への船出―艶なるロココ
庭園革命の時代における愛と官能の発見
エロスとデッサウ=ヴェルリッツ庭園王国
ウィンター・ガーデン、シュレーバー・ガルテン、自然の庭、愛の園―一九・二〇世紀への展望
著者等紹介
ニーダーマイヤー,ミヒャエル[ニーダーマイヤー,ミヒャエル][Niedermeier,Michael]
1954年、東ドイツ・ゴータ生まれ。ベルリン・フンボルト大学でドイツ文学、英文学、教育学を学ぶ。2000年よりベルリン・ブランデンブルク科学アカデミーで『ゲーテ辞典』編纂部門を率いる。2007年に大学教授資格取得(ドイツ文学)
濱中春[ハマナカハル]
1969年生まれ。法政大学社会学部准教授(ドイツ文学)
森貴史[モリタカシ]
1970年生まれ。関西大学文学部教授(ドイツ文化論、ヨーロッパ紀行文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
45
庭とエロスの関係を論じた一冊。範囲は古代オリエントとエジプトから18世紀ヨーロッパまでと非常に幅広いが、其々の時代の庭園の特色とそれに関するエロティシズムの情報がまとめられていて自分のような初心者にも優しい。一読して気付かされるのはエロティシズムと神々の関わり合いの強さについてと、ヨーロッパの庭園におけるイタリアとギリシャ神話の影響の強さ。特に神々との関わり合いは古代のみならず近世に至るまで脈々と受け継がれているのが意外と言えば意外。庭は洋の東西を問わず、思想と強い関連を持つという事を改めて教えられた。2013/12/04