内容説明
ヴィデオは過渡的なメディアではない。電子信号の変換と即時再生の再帰的構造に立脚する真に視聴覚的なメディアとして、ヴィデオは映画ともコンピューターグラフィックスとも異なる独自の映像美学を実現する。映画映像やコンピューター映像とは異なる構造とダイナミズムを持つヴィデオ映像の宇宙の解明。すべてを“デジタル革命”に回収する安直なメディア史的展望を排し、シュピールマンはヴィデオのポテンシャルを解き放つ。
目次
序論 視聴覚メディア
第1部 テクノロジーそしてメディアとしてのヴィデオ(メディア論的考察;視覚化をめぐる議論;技術と機器に関わる諸前提 ほか)
第2部 再帰的メディア(実験段階;ゲリラ・テレヴィジョン;アーティスト・ヴィデオ ほか)
第3部 ヴィデオ美学(機器、自己反省、パフォーマンス―ヴィト・アコンチとデニス・オッペンハイム;映像、摸像、メディア映像―ウルリケ・ローゼンバッハ、ジョーン・ジョナス、ヴァリー・エクスポート;ヴィデオ/TV―ナム・ジュン・パイクとダラ・バーンバウム ほか)
展望 複雑性とインタラクティヴ性
著者等紹介
シュピールマン,イヴォンヌ[シュピールマン,イヴォンヌ][Spielmann,Yvonne]
ドイツ生まれのメディア学者・芸術学者。フランクフルト大学に学ぶ。ハノーファー大学で哲学博士号を取得し、1997年には間メディア性に関する研究によりコンスタンツ大学で教授資格を取得。2007年までブラウンシュヴァイク造形芸術大学で教授を務めたのち、現在は西スコットランド大学(イギリス)の研究教授としてニューメディア講座を担当、テクノロジー・メディアとアートをめぐる国際的な研究を牽引している
海老根剛[エビネタケシ]
東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻博士課程修了(ドイツ語ドイツ文学)。博士(文学)。現在、大阪市立大学大学院文学研究科准教授。専門は20世紀前半のドイツ語圏における身体文化論および映像論
柳橋大輔[ヤナギバシダイスケ]
東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻博士課程単位取得退学(ドイツ語ドイツ文学)。現在、早稲田大学・東京理科大学・明治学院大学非常勤講師。専門は近現代ドイツ文学、メディア文化研究(映画言説史)
遠藤浩介[エンドウコウスケ]
学習院大学人文科学研究科満期退学(ドイツ文学専攻)。現在、学習院大学文学部ドイツ語圏文化学科助教。専門はドイツ文学・思想(20世紀初頭)、メディア論(文字論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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