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目次
見直し(晩生;人間存在の行跡;不安状態;一人の人間の脈搏のすべて;シリーズとしてのイメージ;感情からの脱出;絵であって、絵ではなく)
思うことども(媒体としての画家;ベイコンと詩;ベイコンとジャコメッティ;ベイコンの密かな悪癖;人体のイメージ)
話の落穂拾い(彼自身;テーマと拠りどころ;過去の芸術;近代の芸術;美学)
伝記ノート
著者等紹介
シルヴェスター,デイヴィッド[シルヴェスター,デイヴィッド][Sylvester,David]
1924年にロンドンで生まれ、生涯のほとんどを当地で過ごした。1951年以後、ロンドン、パリ、ヴェネツィア、ミュンヘン、ダブリン、ニューヨーク、ワシントン等、数多くの美術館における大展覧会のキュレイターあるいは共同キュレイターを務める。また、テイト・ギャラリー評議員、アート・カウンシル・オブ・グレイトブリテンのメンバー、アート・パネル議長、パリ国立近代美術館・コミッション・ダキジションのメンバー、ヘンリー・ムア・ファンデーション評議員、サウス・バンク・ボード理事長等の各要職を務める
五十嵐賢一[イガラシケンイチ]
1943年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。フランス文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蛸
9
ベイコンと親しい関係にあった美術評論家であるデイヴィッド・シルヴェスターの様々なベイコン関連の文章を収めた一冊。ベイコンの直接の発言を引用しつつ、豊富な美術史に関する知識を武器に、ベイコンの絵画の様々なモチーフの元ネタを次々と挙げ連ねていく様は圧巻。同時にベイコンによる、既存のイメージの独創的な取り扱い方にも唸らされる。図版も豊富。同著者のインタビュー集から取りこぼされた2人のやりとりも必見。ベーコンの死後発見されたスケッチ(生前はその存在が否定されていた)に関する文章なども読み応えがあった。2022/01/21
H
3
ベイコンは、停止した肉体を扱わない。彼らはゆるみ、とけだし、もとのかたちを失くしても、絵のなかに留まろうとはしない。唇や歯、脚や腕などの見慣れた身体のパーツを執拗に描くことで、日常では覆いがかけられている暴力性を露出させる。しかし、多くを語るはずの眼が描かれることはすくない。彼が固着しているのは、あくまでも説明を省かれた肉体だ。歪さの限界をたしかめるように、肉である男が変形していくのを、わたしは身をひそめて見ている。かれらが叫ぶ声は、濃い静寂のなかにかき消されていく。2015/11/04
Kamîyama
2
原書で読了。画家フランシス・ベーコンの古い友人であり美術評論家のデイヴィッド・シルヴェスターによる、ベーコンの絵画的伝記である。彼の作品の主要なものを網羅し、インタビューからシルヴェスターによる論考まで記事は多岐に渡る。独自の世界を構築したベーコンを概観するには十分すぎる一冊と言える。内容的には美術史上にベーコンがどのように位置づけられるかという部分が重視されると同時に、難解と言えるその絵の見方を彼自身の感覚に従って丁寧に解説してくれている。ドゥルーズの『感覚の論理』よりもベーコンを知るには良い。2013/04/14