内容説明
フランチェスコ修道会の教会サンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂はヴェネツィアという特異な地における宗教、政治、美術の独特な関係性を具現している―。有力貴族ペーザロ家の華々しいパトロネージによってこの聖堂に掲げられたベッリーニ、ティツィアーノの不朽の祭壇画や、彫刻装飾。彼らはこうした美術作品の寄進によって何をなしえると信じたのか?宗教史、社会史、美術史の手法を綿密によりあわせることでルネサンス期のヴェネツィアがあざやかに蘇る。
目次
第1章 サンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂:ヴェネツィアの「大きな家」
第2章 フラーリ聖堂のベッリーニとペーザロ家
第3章 フランチェスコ会の勝利と敗北
第4章 ティツィアーノの“聖母”
第5章 ヴェネツィアの聖母崇拝
補論1 ヴェネツィアにおけるシエナの聖ベルナルディーノ
補論2 総督ジョヴァンニ・ペーザロ