内容説明
一五世紀末、北イタリア・ヴァラッロにエルサレム巡礼の代替となる新しい聖地「サクロ・モンテ」が創建された。山上に建設された複数の礼拝堂それぞれの内部には等身大像と壁画によりキリストの受難の場面が再現され、巡礼は黙想しながらそれらを辿る。しかし、エルサレムの再現を目指した当初の計画は、一六世紀、宗教改革に対抗するべく新たなプログラムが導入され、変革が図られていく。二〇〇三年のユネスコ世界遺産登録後も、いまだ日本では知られていない特異な聖地サクロ・モンテの歴史とその変容を初めて詳述する。
目次
第1章 ヴァラッロのサクロ・モンテの現状と先行研究
第2章 サクロ・モンテの生成
第3章 サクロ・モンテの変貌
第4章 対抗宗教改革期における北イタリアのサクロ・モンテ
第5章 ノヴァーラ司教カルロ・バスカペーによる再整備構想
第6章 第三六礼拝堂“カルヴァリオへの道”―予型論図像と「キリストのまねび」の可視化
第7章 第二七礼拝堂“ピラトの審問所”におけるタンツィオ・ダ・ヴァラッロの貢献
第8章 第三四礼拝堂“手を洗うピラト”の図像プログラム
著者等紹介
大野陽子[オオノヨウコ]
大阪生まれ。2005年度大阪大学文学部研究科博士後期課程修了、博士(芸術学)。現在、大阪大学ほかで非常勤講師を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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