内容説明
古くより芸術家は活躍の場を求め、また研鑽を目的に、他国へと旅立った。美術の発展にとって彼らの移動はまちがいなく重要な役割を果したが、それが形象や図版の伝播の根拠として安易に語られてきた面も否めない。その反省の上に立つ時、美術の発展を描く歴史地図に「芸術家の旅」をいかに具体的に書き入れることができるだろうか?芸術家の移動をめぐる、かつてない論集。
目次
第1部 総論(美術の展開に果たした芸術家の旅行の意義)
第2部 各論(さまよえるヤーコポ・デ・バルバリ―「学識ある画家」がアルプス以北に与えた衝撃;一六〇三年のルーベンスのスペイン行と二点の絵画;イタリアへの旅―一六世紀後半にローマとヴェネツィアを旅した北方画家たち;ベラスケスのイタリア旅行;横断と遡行―一八世紀フランスの画家たちとイタリア)
第3部 資料(ベラスケスのイタリア旅行に関する記述―フランシスコ・パチェーコ、アントニオ・パロミーノおよびジュゼッペ・マルティネスによる;モーリス・ドニの第二回イタリア滞在―一八九七~九八年)
著者等紹介
小佐野重利[オサノシゲトシ]
1951年山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。東京大学大学院人文社会系研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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