内容説明
46歳で聴覚を失ったゴヤは、70代半ばから俄然、自邸“聾の家”を飾る『黒い絵』連作を描き出した。暗く渦巻き奔騰する作品内面のドラマを読み解きつつ、ゴヤと通底する東西の絵画・文学を渉猟する。
目次
序説(ゴヤ略伝風年譜;“聾の家”;ゴヤの病因―鉛中毒説と梅毒説)
『黒い絵』(一階食堂の絵;二階サロンの絵;『黒い絵』流転)
著者等紹介
小山田義文[オヤマダヨシフミ]
1923年、福岡県生まれ。東京外国語大学卒業。中央大学名誉教授。専攻は英語、文学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
3
ゴヤの「ロス・カプリチョス」っていう版画群について学ぶ必要があったから読んでみた。ところが、この本。ゴヤの作品の奇妙さとバランスをとるためか、それ自体としてめちゃくちゃ奇妙な本。80ぐらいのおじいちゃんになって書いた本だからか、逞し過ぎる想像をすることをためらわない。それでいて、意外と納得できる。梅毒によってあらかたを説明しようと試みたり、古今東西の作家たちとの自由奔放な類推によってゴヤの奇妙な絵を読み解いていく。論文ではなくて、創作活動に近いかもしれないが、そんじょそこらの論文じゃ太刀打ちできなそう。2012/05/01