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出版社内容情報
19世紀末、ベックリーンは都市文明への不信感から、最後の逃走の地(自らの埋葬地)として、古代的神秘をたたえたその孤島を描いた。高貴な孤独へといざなうこの図像の誕生、そして変奏をたどる。
内容説明
強力な印象で眼前に立ちはだかる『死の島』の威容。19世紀末、アルノルト・ベックリーンは都市文明への不信感から、最後の逃走の地―自らの埋葬地として、古代的神秘をたたえたこの孤島を描いた。高貴な孤独へといざなうこの図像のイメージ喚起力は、各時代の気分を反映しながら絵画にとどまらない影響と変奏を現在も生み続けている。
目次
第1章 風景の記念碑
第2章 数点の『死の島』
第3章 範となる作例
第4章 無常という主題と文明に対するペシミズム
第5章 戦争とペスト、すなわち生あるものすべての壊滅
第6章 『死の島』と『生の島』、ひとつの比較
第7章 英雄の墓
第8章 荘重な最後の調べ
第9章 社会・政治的背景
第10章 受容
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかゆ
0
原文がスイスの教授によるものだと言うこともあり、中々に詩的で難解だと感じた。ベックリーンの記録としてはグスタフ・フルエルケによる同時代史料もあるが、そちらで描かれるベックリーン像と本書では印象にズレがあり、どちらをどれほど信じれば良いのかと疑問に思った。2024/06/21
ホンドテン
0
図書館で。画題込みで著名な作品についての作家、モチーフ、社会背景を含めた多角的解題。制作は普仏戦争後の泡沫会社時代、経済狂乱にメランコリーな文明終末(ヴェニスはその象徴)を予感させ(大胆な構図が印象的なペストも画家の作)、さらにナチス思想と合致させられ等々に暗示的に読み取られ受容される。画題は売却以後付加とは。画家は異邦南欧的(モデルの霊園島も含め)であり同時に北欧英雄譚に自らをダブらせる。これが画家の不遇時代の長さの裏返しと考えるといじましい。2023/08/18