内容説明
ラカン理論の重要な諸概念に論点を絞り、精神分析治療のメカニズムに迫る5つの講義。
目次
1 二大概念―無意識と享楽
2 無意識
3 対象αという概念
4 幻想
5 身体
講演 無意識の主体という概念
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
12
ラカン本人が行ったセミネールのような雰囲気を漂わせつつ、師よりも平明に師の概念装置を説明するアルゼンチンの精神分析家の講義録。快楽と享楽の違いをはっきり示す仕方なども具体的場面と理論的考察のバランスを絶妙に加減していて、またいわゆる大文字の他者の享楽とはそれ以外の通常の享楽を超絶したとてつもなくヤバい狂乱ではなく、そのように幻想される虚構としての享楽であるとまとめる手際も見事。ラカン派の語彙と思考をそれなりに覚えた上で整理するのには非常に適してる分、シニフィアンも対象aも聞いたことない初心者向きではない。2015/12/10
Z
9
良書。著者が行ったラカンに関する無意識と享楽をテーマにしたセミナーの書籍化。とにかくラカンの言う象徴界や言葉が無意識の表現であり、一般的な言語学で扱うような言 葉とは違うことを明確、正確に指摘する本が少ないなか、貴重な本。これとラングの本がラカンの解説として、個人的に双璧。この人の別の本も読みたい。プラス、ラカンの翻訳進めてほしい。2018/10/11
まめ
0
「無意識と享楽」「無意識」「対象a」「幻想」「身体」という5つのラカン理論に加え、「無意識の主体という概念」に関してそれぞれ解説をした本。講義を元に書かれており、読みやすくはあるが、内容はあらかじめある程度のラカンの理論が頭に入っていないと理解するのが難しいのでは…というレベル。 「身体」に関しては今まで読んだラカンの解説本で特にとりあげて論じているものがなかったので、面白く読めた。2013/03/08