内容説明
気弱なサラリーマンがヤクザの用心棒に…「おれの血は他人の血」。特殊な性質を持つヤクザたちの世界を描いた連作「男たちのかいた絵」。断筆時に花田秀次郎名義で書いた「写真小説 男たちのかいた絵」。単行本や文庫にも未収録の貴重な短篇4作、「NULL」の復刻、第3回日本SF大会の「DAICONパンフレット」を特別収録!
目次
1 おれの血は他人の血
2 男たちのかいた絵
3 単行本&文庫未収録短篇
4 筒井康隆・イン・NULL4(9号~臨時号)
DAICON REPORT
悪魔の契約(特別収録)
DAICONパンフレット
著者等紹介
筒井康隆[ツツイヤスタカ]
1934年、大阪生まれ。同志社大学文学部卒。工芸社勤務を経て、デザインスタジオ“ヌル”を設立。60年、SF同人誌「NULL」を発刊、同誌1号に発表の処女作「お助け」が江戸川乱歩に認められ、「宝石」8月号に転載された。65年、上京し専業作家となる。以後、ナンセンスなスラップスティックを中心として、精力的にSF作品を発表。81年、「虚人たち」で第9回泉鏡花賞、87年、「夢の木坂分岐点」で第23回谷崎潤一郎賞、89年、「ヨッパ谷への降下」で第16回川端康成賞、92年、「朝のガスパール」で第12回日本SF大賞、00年、「わたしのグランパ」で第51回読売文学賞を、それぞれ受賞。02年、紫綬褒章受章。10年、第58回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
5
下の世界を読む。これは哲学者の永井均が薦めていたものである。下と上とで人々が分たれ、上の楽しみのために下の人人がある、そんな社会システム。下から上への成り上がりが下の世界の人々を強く動機付けているのだけれど、いざ上へ昇っても「下の世界からやってきたやつ」でしかない。ここに悲哀が宿りがちなる読書体験といったところだが、その悲哀の使い道のほうに気が行ったな。上を目指しても意味がないに向かうのではなくて。結果、主人公が選ぶのは読書だった。慰みのつもりではなしの仕方ないという事情にありつつ仕方なしにではない意志で2024/07/18
渡邊利道
3
SF的(科学的ではない)アイディアが中核にあるハードボイルド長篇『おれの血は他人の血』、ジャズのスタンダードナンバーをタイトルに異常性格とチンピラヤクザのエロスとタナトスを描いた連作『男たちのかいた絵』。どちらも少し暗く淫靡で凄惨でセンチメンタルな小説。とくに後者は隙のない筆の冴えを味わえる。植草甚一の書評や映画ノベライズ(断筆中で筆名で書かれた、映画のスチール満載の「写真小説」)なども収録。ほかに未収録短編とヌルの最終号まで。2017/06/21
豆ぐみ
2
面白かった!表題作や「男たちのかいた絵」シリーズ、単行本未収録短編、NULLやDAICONレポートなど。3分の2がヤクザもの、表題作はマカロニウエスタンみたいに血が過剰、ちょっとハルク。トヨエツのちょっとみたい。性癖シリーズは正直辟易するもののあったが(青臭い)。2016/06/23
法水
2
『ビーバップ!ハイヒール』で『男たちのかいた絵』のノベライズを書いたのが断筆中の筒井さん本人だったと知り、ブックオフめぐりをしなければ!と思っていたら、タイミングよく復刻。感謝感謝。DAICONのパンフレットも貴重(それにしても広瀬正さんの著作権継承者の連絡先が分からないとは)。エスクレメントオ!2016/03/27
岸田解
1
映画を観た直後だったので、文・花田秀次郎「写真小説 男たちのかいた絵」も読めたのは有難かったです。/「あなたと夜と音楽と」も、実にらしくて好きだなぁ。/「社長秘書忍法帖」も笑った笑った。2018/08/11