内容説明
三百八十余年前、尼子の落武者たちを財宝目当ての村人達が惨殺。二十数年前、村人三十二人を田治見家の当主・要蔵が無差別殺戮。そして今また、この呪われた村で新たな連続殺人が勃発した。平凡なサラリーマン生活を送っていた田治見家の血縁者・寺田辰弥が突如巻き込まれた血みどろな事件の真相を、はたして金田一耕助は見破れるのか?!鍾乳洞への冒険と落武者の残した財宝捜し、凄惨な殺人事件と緻密な論理性…本格探偵小説と伝奇ロマンが見事に融合、横溝文学のあらゆる魅力が縦・横・無・尽に駆け巡る迫力長編。
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
1902年、神戸市生まれ。大阪薬専卒。21年、「新青年」に「恐ろしき四月馬鹿」を発表。26年、博文館に入社して「新青年」の名編集長として腕をふるい、江戸川乱歩らとともに日本探偵小説黎明期の中心人物として活躍した。32年、作家専業となった直後、喀血して闘病生活を余儀なくされるが、「鬼火」「真珠郎」などを発表、再起をはたす。戦後いちはやく本格物に力を入れ、48年、金田一耕助の初登場する「本陣殺人事件」で探偵作家クラブ賞長編賞を受賞した。40年代から50年代にかけて「獄門島」「八つ墓村」「悪魔の手毬唄」など、金田一シリーズを次々と発表、のちに横溝正史ブームを起こす。81年、79歳で他界(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雪風のねこ@(=´ω`=)
89
恥ずかしながら初読。このタイトルと言えば亜蔵が奇異な格好で村人を惨殺しまくる映像が思い浮かんでどんな作品なんだろうかと思っていたけど、相変わらず重厚な人間描写で大変楽しめた。どんな関係なさそうな伏線でも、そうだったのかと繋がる伏線回収も面白い、というかよく考えたなーと感心。犯人はあの人だろうなーという予感は中盤辺りからしてたが、動機は何で、物語をどう収めていくのかが気になった。思った以上に大団円で、忌まわしい過去を払うに相応しい。慎太郎の心意気に喝采をあげた。尼子の落ち武者も成仏してくれたらいいなぁ。2020/12/13
優希
36
ドロドロした空気が漂う作品でした。連続殺人が恐ろしい。それにしても金田一の出番が少ないでしょう。2024/01/21
うーちゃん
24
横溝正史の代表作のひとつ。これの映画版と「世にも」のテーマ曲と「笑ウせぇるすまん」は、私の幼き日の3大トラウマ。10年振りぐらいの再読だったが、思いのほか読了に骨が折れた。とにかく鍾乳洞の場面が多くて退屈してしまったかも。私が原作で好きなのは、金田一が 第一の殺人から犯人はわかっていたと言っちゃうところ。じゃあこんなに死なせるなよ!とすかさず突っ込ませてくれる金田一が大好きです。八つ墓村の不穏な世界において、最後まで人間味と愛情をもって辰弥に接する春代・典子の存在も良い。ロマンあふれる名作。2017/06/28
poke
12
金田一がほとんど登場せず、事件の真っ只中に突然放り込まれた当人の視点で進んでいくので謎解きとは程遠くどんどん謎が膨らんで行くばかりで、面白くもあり、途中から疲れてきた。疑っていたならもう少し防ぎようもあったのでは、と笑えてきたけれど、最後はほのぼのしたムードで、なんとなく満足して読了。2017/12/24
仮為
11
☆4尼子の落武者を財宝目当てで殺害、その後当主が無差別殺人と、因縁のある村で起こる連続殺人事件。読んだシリーズ中で一番面白かった!探偵目線ではないので、金田一の影が薄く、全部終わった後に活躍感がいつも以上でしたが笑春代さんが好きだったので、幸せになって欲しかったなぁ。2015/05/06