深夜の魔術師

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  • サイズ B6判/ページ数 253p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784882932598
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

帝都を惑わす黒装束の怪人の正体は!?由利先生の活躍を描く長編「深夜の魔術師」のほか、「御朱印地図」「慰問文」「神兵東より来る」など、戦時下の生活をありのままに伝える10編を収録。

著者等紹介

横溝正史[ヨコミゾセイシ]
明治35年、神戸に生れる。大正10月4日、19歳で処女作「恐ろしき四月馬鹿」を「新青年」に発表。以後、新青年の名編集長として腕をふるい、江戸川乱歩らとともに日本探偵小説黎明期の、中心人物として活躍した。早くから時代小説も手がけ、「人形佐七捕物帳」をはじめとするシリーズが多数ある。昭和8年、作家専業となった直後、喀血して闘病生活を余儀なくされるが、「鬼火」「真珠郎」など鬼気せまる作品を次々と発表、みごとに再起をはたす。戦後いちはやく『本陣殺人事件』の連載を開始し、昭和23年、同作品で第一回日本探偵作家クラブ賞を受賞した。昭和20年代から30年代にかけて、『獄門島』『八つ墓村』『悪魔の手毬唄』等、金田一耕助の活躍する本格推理小説を数多く発表、昭和40年代に入ってしばらく沈黙するが、40年代後半、旧作の文庫化、映画化などの影響による爆発的な横溝正史ブームに応え、『病院坂の首縊りの家』『悪霊島』等の新作を発表した。昭和56年、79歳で他界するが、60年間の作家生活の最後まで、新作の構想を練っていた
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

22
コナン・ドイルの「シャーロックホームズ最後の挨拶」や、クリスティのポアロもの「総理大臣失踪事件」「謎の盗難事件」にも戦争は出てくるし、探偵達は愛国心をあらわにする。 本編収録作は国策的執筆依頼を受けるようになって以降書かれたものである。だから、「見たところ支那のそういう階級の女としては小奇麗で、身だしなみもよく」(広東の鸚鵡)「ビルマ人といっても馬鹿になりません。あれでなかなか悧巧だし」(神兵東より来る)など、今から見るととても恥ずかしい描写がある。2004/12/04

G-dark

3
『深夜の魔術師』、『広東の鸚鵡』、『三代の桜』、『御朱印地図』、『砂漠の呼声』、『焰の漂流船』、『慰問文』、『神兵東より来る』、『玄米食夫人』、『大鵬丸消息なし』、『亜細亜の日月』を収録した短編小説集。どの作品も日本軍を正当化し、戦死を美化しています。けれど、作品の1つ『三代の桜』は、当局受けを狙っているように見えて、実際は戦争の悲惨さがはっきりと書かれているように思います。うまくカモフラージュしてあるけれど。この作品は、横溝正史の、戦争や、戦争を肯定する人々への精一杯の抵抗だったのではないでしょうか。2013/07/12

風祭

2
プロパガンダ小説が多いが、横溝氏の抵抗を感じる。冷静に読める時代に生まれてよかったと再確認。2015/08/21

ささ

2
表題を始めとした短編集。探偵小説は表題のみ。『広東の鸚鵡』、『三代の桜』、『御朱印地図』、『砂漠の呼声』、『焰の漂流船』、『慰問文』、『神兵東より来る』、『玄米食夫人』、『大鵬丸消息なし』、『亜細亜の日月』はプロパガンダ小説。『三代の桜』はプロパガンダ小説なのだけれど、切なさがあって、しんみりとさせられる。主人公の社長さんの方言と人柄に惹きつけられる。『玄米食夫人』はプロパガンダ小説というよりは、ミステリーの要素が強いかも。そして後味は悪い。一番戦意に直結しそうな小説は『慰問文』。2015/03/02

私的読書メモ3328

1
表題作は少年向けの通俗長編。解説に「大人向けの骨格も備えた水準作」とあるのは完全に贔屓の引き倒し。あまりに必要性のない犯人の行動など、子供騙しにも足りるか微妙なものでした。他の収録作も読むに堪えない出来で、次第に流し読みするのも苦痛なほどでしたが、これを作者の責任とするのは的外れでしょう。戦時下における統制のために余儀なくされたものであり、お上による表現規制がいかに作品を、作家を殺すかという実例として、極めて貴重なものと言えます。2020/01/01

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