内容説明
江戸川乱歩が生んだ世紀の怪盗「怪人二十面相」。日本で最も名の知れた怪盗の謎に包まれた素顔が今、明かされる!彼の魔法のような奇術は元サーカスの天才・丈吉が世間を観客に見立てた「芸術」であった。次々と披露される鮮やかな変装の舞台裏、明智小五郎や小林少年との華やかな対決、二代目二十面相の誕生など、乱歩のオリジナルでは決して味わうことができなかったおとなの冒険奇談。
著者等紹介
北村想[キタムラソウ]
劇作家・小説家。1952年(昭和27)7月5日滋賀県大津市生れ。滋賀県立石山高等学校卒業後、名古屋で友人の学生演劇(中京大学演劇部に所属)に付き合ううちに戯曲を書き始める。以来、名古屋にて自ら結成した劇団、「TPO師★団」「彗星’86」を経て現在プロジェクト・ナビの代表。1996年より兵庫県伊丹市AI・HALLで劇作家育成クラス「想流私塾」で塾長を務める。受賞歴、84年『十一人の少年』で第28回岸田戯曲賞受賞。88年昭和62年度名古屋市芸術賞奨励賞受賞。89年『雪をわたって…第二稿・月のあかるさ』の作・演出において第24回紀伊国屋演劇賞個人賞受賞。90年初日通信大賞脚本賞受賞。92年第3回東海テレビスポーツ芸能選奨受賞。97年ラジオドラマ『ケンジ―地球ステーションへの旅』でギャラクシー賞受賞。99年『螺子と振り子』で第4回松原英治・若尾正也記念演劇賞受賞
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感想・レビュー
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ehirano1
57
著者はどうしても乱歩の「怪人二十面相」を書きたかったんだなぁという思いが伝わってきました。これはこれでなかなかよろしんじゃないですか!2023/09/18
kaz
3
筒井康隆の「大盗庶幾」を読んだ後、急に読みたくなりました。探偵、怪盗ともに代替わりすると予め聞いていて、どうかなと思いましたが、戦時中のブランクをうまく利用して上手に辻褄あわせをしていて感心しました。もともとの荒唐無稽なストーリーを、工夫を重ねて再構築し、大人が読んで楽しめるまでにリアリティを持たせることに成功しています。その工夫のところが大きな読みどころとなっています。これを原作に、大きく翻案し、映画化されたようですが、原作そのままで、「こち亀」風の絵柄でマンガ化されたものを見てみたい気がします。2014/12/26
ひらり庵
3
聖典では明智がやたら海外出張していた。今作では、その秘密が明かされている。その他、少年探偵団とチンピラ別動隊の格差問題、二十面相の変装の限界など、小ネタが満載である。しかし、単なるパロディーに終わっていないのは、作品全体に横溢するペーソスのためだと思う。貧しい時代だったのだ。2014/08/13
to-lucky
3
昔好きだった「怪人二十面相」。そうか二十面相にも人生があったのね。なかなか面白く、懐かしい一冊でした。2010/01/26
ふーる
3
前編と後編がまとまった一冊。二十面相の視点で描かれる世界では、明智はまさに悪人。とくに後編の明智は邪悪だなぁ。乱歩の描いた二十面相の矛盾をも綺麗に解消する解釈、面白かったです。2008/12/29