マビノギオン―中世ウェールズ幻想物語集

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  • サイズ A5判/ページ数 463,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784882841937
  • NDC分類 993.3
  • Cコード C0097

内容説明

ヨーロッパ最古の民といわれるケルト人のなかに、島のケルトと呼ばれ、ブリテン島の南西の一角に活躍したウェールズ地方の住人―カムリ人がいた。そしてここに、彼らの言語文化の宝とされる一冊の物語集が存在する。アーサー王伝説の原形を内包するといわれるこの物語集は、1920年代からいくたびか邦訳され、紹介されてきた。しかし、いずれもが英訳本をもとにした部分的な翻訳であった。本書、中世ウェールズ幻想物語集『マビノギオン』は、ウェールズ語原典復刻本『ヘルゲストの赤い本』ならびに『レゼルッフの白い本』をもとにした、初の完訳である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

97
この本は長崎尚志さんの「ドラゴンスリーパー」に主人公が読んでいる本でかなり引用されていたので図書館から借りてきて読んでみました。普通は英訳から日本語訳しているのが多いそうですがこの本はウェールズ語原典からの完訳だそうでかなりの労作です。アーサー王物語のもとの話もある感じではなしとしては読んだことのあるようなものも多く感じられました。ただ解説や訳注、人名、地名などかなり詳しく書かれているのが参考になりました。2019/01/18

コットン

65
後半のアーサー王物語に関わる章以外はつまみ読みですが、ウェールズ語からの訳とのことでかなりの労作だと思います。幻想的な物語の面もあり面白い。ウェールズの古典ではあるが物語の中の感覚はウェールズ人の特質として今も引き継がれているだろうと感じることが出来た。2024/04/03

HANA

53
幻想物語というよりは神話。後世の小説のような巧緻さ上品さはないものの、人間の想像力の力を生で感じられるような話ばかりが収められている。『古事記』や『カレワラ』に通じる様な原初の荒々しさを感じられるような話ばかり。解説を読むとそれも道理で、ケルトの神話を中世の修道院がまとめたものという。基本英雄の彷徨譚が中心であるが、本邦の英雄のような寂しさを湛えた旅ではなく武勇と腕試しが中心のため何となく話の中でパターン化しているような所も多々見受けられる。この繰り返しが吟遊詩人の詩らしいといえば詩らしいんだけれども。2015/04/06

syaori

51
本書の核になるマビノーギ四枝は何て伸びやかな神秘と魔法に満ちているのでしょう。歩いて海を渡る王、花から生まれた乙女など自在に飛翔する物語に魅了されるばかり。後半のアーサー王物に連なる作品群も、オウァインの烏の軍団、ゲライントが向かう霧の森など魔法と神秘が感じられます。本書はゲライントが霧の森の「呪いも、魔法も」打ち払って幕を閉じるのですが、それが物語の魔法の終焉のようで少し寂しく感じました。ただ序文の訳者にとって「マビノギオン」は魔法の呪文だったという話から、魔法はまだ続いているのだと信じているのですが。2017/10/11

マウリツィウス

23
【四つの枝】『新約聖書』『旧約聖書』のラテン語訳化による中世叙事詩到来を『マビノギオン』は取り払ったと呼べるのかもしれない。よってシェイクスピア/古典期ギリシャの二項対立機能をこの詩篇書物は批判する。「中世ウェールズ」における幻想様式を「マビノギ」は否定したのではなく『ケルズ写本』における福音書記述を再現したとも呼称できるのだろうか。英訳痕跡ではなく羅訳痕跡、古典主義における「幻想譚」を再記録とした。英語古典様式をこの書物は踏襲する。古典主義/新約主義におけるロマン主義の位置を明確に定義した発展様式確認。2014/01/19

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