CMCテクニカルライブラリー
電気自動車の開発

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  • サイズ A5判/ページ数 296p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784882318446
  • NDC分類 546.59
  • Cコード C3054

出版社内容情報

 【刊行にあたって】


 本書は1999年に初版『電気自動車の開発と材料』が刊行され,時代の波に乗って増刷に至った。初版から5年の歳月が流れ,本書に記載されている内容もやや古くなった部分があることは否めない。しかし,時代の進化とあまり連動しない原理・原則的な普遍性ある内容も多々あり,普及版の主旨も加味して一切改訂していない。特にモーターや磁石,半導体デバイス,それに二次電池や燃料電池と,それらの機能材料の領域は今もなお,研究開発が続けられている基礎的な要素をふんだんに含んでおり,今後の研究や技術開発にとっても十分活用できる構成で監修されている。
 表題に掲げた電気自動車と言っても,解釈的には3種類に及ぶ。ひとつは電池のみで駆動する電池電気自動車(以下,EV),内燃機関と電気駆動を組み合わせたハイブリッド電気自動車(以下,HEV),そして燃料電池で発電する燃料電池自動車(以下,FCV)である。これらの新エネルギー形態は,ここ10年程度の開発で飛躍的な技術進化を遂げた。
 日本では1995年には大型ニッケル水素電池が実用化され,新しいEVの幕開けにつながった。1997年にはトヨタから世界初のHEV“プリウス”が発売され注目を浴び,1999年からホンダもこの領域に参入し,燃費低減に貢献する新しい価値観を提供した。このように,EV用ニッケル水素電池の技術をベースに,HEVニッケル水素電池が着実に実用化された。さらに一部でHEV用リチウムイオン電池やキャパシタなど,多岐にわたるエネルギー貯蔵技術も確立されている。
 このように本書に記されている内容が世界の最高水準にあること,および新しい発見や発明,技術進化が日本の中で着実に行われていることは,この普及版が十分に示してくれるものである。本書が今後も,研究者・技術者にとって大いに役立つものと確信する。

 2004年8月                    佐 藤  登


 【執筆者一覧(執筆順)】


佐藤  登       (株)本田技術研究所 栃木研究所 チーフエンジニア
       (現)  サムスンSDI Co., Ltd. Corporate R&D Center Vice President(常務執行役員)
後藤 時正       (社)電池工業会 専務理事
堀江 英明       日産自動車(株) 総合研究所 材料研究所 主任研究員
本間 琢也       燃料電池開発情報センター 常任理事/筑波大学名誉教授
藤中 正治       東京電機大学 工学部 電子工学科 教授
近藤 康宏       松下電器産業(株) カーエレクトロニクス開発センター
金子 裕治       住友特殊金属(株) ネオマックス事業部 開発室長
       (現)  (株)NEOMAX ネオマックス事業部 技術部長 
開道  力       新日本製鐵(株) 技術開発本部 鉄鋼研究所 鋼材第一研究部 主幹研究員
石原 好之       同志社大学 工学部 電気工学科 教授
宝泉  徹       富士電機(株) 松本工場 半導体開発センター パワー半導体開発部 マネージャー
       (現)  富士日立パワーセミコンダクタ(株) 松本事業所 副事業所長
杉森 勝宣       日本電気精器(株) EV充電システム開発部
押谷 政彦       (株)ユアサ・コーポレーション 基盤研究所 所長
       (現)  (株)ジーエス・ユアサコーポレーション 研究開発センター 常務執行役員
米津 育郎       三洋電機(株) ニューマテリアル研究所 電子化学研究部 部長
       (現)  三洋電機(株) モバイルエナジーカンパニー R&Dビジネスユニット ビジネスユニットリーダー/エナジー研究所長
能間 俊之       三洋電機(株) ニューマテリアル研究所 電子化学研究部 電池システム研究室長
       (現)  三洋電機(株) モバイルエナジーカンパニー R&Dビジネスユニット第2開発部 部長
丹治 博司       旭化成工業(株) 機能膜事業部 部長
       (現)  旭化成ケミカルズ(株) ハイポア営業部 部長
松田 好晴       関西大学 工学部 教授
       (現)  山口大学名誉教授
井上 芳樹       日本電気(株) エネルギー・デバイス事業部 ソリューション技術グループ
矢田 静邦       (株)関西新技術研究所 エネルギー変換研究部長
       (現)  (株)KRI エネルギー変換研究部 理事/エネルギー変換研究部長
木下  肇       (株)関西新技術研究所 エネルギー変換研究部 研究員
       (現)  (株)KRI エネルギー変換研究部 担当部長
太田健一郎       横浜国立大学 工学部 教授
       (現)  横浜国立大学大学院 工学研究院 教授
光田 憲朗       三菱電機(株) 先端技術総合研究所 エネルギー変換技術部 グループマネージャー
竹下 秀夫       (株)野村総合研究所 情報通信コンサルティング部 副主任コンサルタント
       (現)  インフォメーションテクノロジー総合研究所 副社長

  (執筆者の所属は,注記以外は1999年当時のものです。)


 【構成および内容】

<第1編 自動車と環境>
第1章 自動車をとりまく環境と対応技術                佐藤 登
 1.自動車を取り巻く情勢
 2.環境課題と対応技術
 3.おわりに

第2章 二次電池の環境規制動向                    後藤時正
 1.はじめに
 2.電池の生産状況
 3.二次電池の再生可能金属
 4.二次電池の環境規制の状況
 5.まとめ
 6.おわりに

<第2編 電気自動車の開発とプロセス技術>
第1章 電気自動車の開発動向                     佐藤 登
 1.はじめに
 2.法規動向
 3.電気車両の意義
 4.電気自動車と要素技術の開発状況
 5.おわりに

第2章 ハイブリッド自動車の開発                   堀江英明
 1.HEVの概観
 2.車両性能とエネルギーの効率
 3.HEVの研究開発例

第3章 燃料電池自動車の開発                    本間琢也
 1.燃料電池とは
 2.燃料電池システムの構成
 3.固体高分子型燃料電池(PEFC)
 4.燃料電池自動車の開発動向と将来計画の概要

第4章 ソーラーカーの開発                        藤中正治
 1.はじめに-太陽エネルギーと電気自動車
 2.ソーラーカー
 3.ソーラーカーの低公害性
 4.進化するソーラーカー
 5.おわりに-ソーラーEVの普及-

第5章 電気自動車の市場展望                     シーエムシー出版 編集部
 1.はじめに
 2.電気自動車
 3.ハイブリッド自動車
 4.燃料電池自動車

<第3編 駆動系統のシステムと材料>
第1章 永久磁石モータと誘電モータ                  近藤康宏
 1.EV用モータに要求される特色
 2.誘導モータ
 3.永久磁石モータ
 4.今後の展望

第2章 高性能磁石の最新技術                     金子裕治
 1.はじめに
 2.Nd-Fe-B磁石の現状
 3.Nd-Fe-B系焼結磁石の高性能化
 4.IPM/SPM用高性能・高耐熱磁石
 5.高耐食性表面コーティング技術
 6.おわりに

第3章 電磁鋼の開発と材料                       開道 力
 1.EV駆動モータ用電磁鋼板への要求と対応材料
 2.モータ高性能化における鉄心材の位置づけ
 3.高磁束密度材料
 4.低鉄損材料
 5.モータにおける性能劣化と高性能電磁鋼板
 6.高性能モータ用材料の最適化
 7.おわりに

第4章 IPMモータ設計の磁界解析                   石原好之
 1.はじめに
 2.有限要素法
 3.材料特性の取り扱い
 4.解析例

第5章 パワー半導体デバイスの現状                 宝泉 徹
 1.パワー半導体デバイスの変遷
 2.MOSゲート型パワーデバイスの現状
 3.IGBTモジュールの大容量化
 4.インテリジェント化
 5.パワーデバイスの課題と今後

第6章 電気自動車用充電システム                  杉森勝宣
 1.はじめに
 2.PEV用充電器の分類
 3.充電器の回路構成と材料
 4.接触式充電システムとコネクタ
 5.非接触式充電システムとコネクタ


<第4編 エネルギー貯蔵、発電システムと材料技術>
第1章 電動車両用エネルギー貯蔵技術とその課題       佐藤 登
 1.はじめに
 2.EVの価値
 3.EVおよびHEV用エネルギー貯蔵技術の動向
 4.電池の評価方法とその実際
 5.エネルギー貯蔵システムの大型化技術における課題

第2章 ニッケル水素電池における材料技術と課題           押谷政彦
 1.ニッケル水素電池と環境問題
 2.ニッケル水素電池の構成材料
 3.ニッケル水素電池の主な材料技術
 4.EV用ニッケル水素電池の電池性能
 5.ニッケル水素電池の高性能化
 6.今後の課題と展望

第3章 リチウムイオン電池における材料技術             米津郁郎,能間俊之
 1.はじめに
 2.リチウムイオン電池の原理
 3.負極材料の開発動向
 4.正極材料の開発動向
 5.リチウムイオン電池の特性
 6.リチウムイオン電池の大型化への取り組み

第4章 次世代二次電池用のセパレータ開発と今後           丹治博司
 1.はじめに
 2.二次電池の種類とセパレータ材料
 3.セパレータの基本機能と要求特性
 4.セパレータの製造技術
 5.セパレータと電池性能
 6.今後の課題

第5章 アルカリ電池用セパレータ材料と今後の課題          押谷政彦
 1.はじめに
 2.小型二次電池のセパレータ
 3.アルカリ二次電池用セパレータの課題
 4.セパレータの親水化技術
 5.セパレータの薄型化技術
 6.セパレータの高機能化技術
 7.用途別ニッケル水素電池用セパレータ
 8.今後の開発方向

第6章 電気二重層キャパシターの材料と電気化学特性         松田好晴
 1.はじめに
 2.電気二重層キャパシタとは
 3.電極材料
 4.電解質
 5.電気二重層キャパシタの性能
 6.ハイパワー電気二重層キャパシタ
 7.高分子ゲル電解質の適用
 8.おわりに

第7章 電気二重層キャパシターとエネルギー貯蔵技術         井上芳樹
 1.はじめに
 2.電気二重層コンデンサの動作原理と基本構造
 3.EV用途と性能
 4.応用例
 5.EV用電気二重層コンデンサの今後の展開
 6.おわりに

第8章 ポリマー電解質電池の開発                      矢田静邦,木下肇
 1.はじめに
 2.電気自動車
 3.固体電解質
 4.ゲル電解質系
 5.ポリマー電解質電池の応用
 6.自動車への応用
 7.今後の可能性

第9章 固体高分子型燃料電池の開発と課題               太田健一郎
 1.はじめに
 2.燃料電池の原理
 3.燃料電池の特徴
 4.燃料電池の種類と燃料電池システム
 5.固体高分子型燃料電池(PEFC)
 6.おわりに

第10章 EV用燃料電池の開発と現状                    光田憲朗
 1.はじめに
 2.EV用PEFCスタックと構成材料
 3.EV用PEFCの燃料と改質
 4.EV用PEFC発電システム
 5.ダイレクト型燃料電池

第11章 二次電池の最新市場                         竹下秀夫
 1.はじめに
 2.小型二次電池市場のレビュー
 3.最新の二次電池市場動向-用途とサプライヤー-
 4.市場から見た二次電池開発の方向性
 5.おわりに


目次

第1編 自動車と環境(自動車を取り巻く環境と対応技術;二次電池の環境規制動向)
第2編 電気自動車の開発とプロセス技術(電気自動車の開発動向;ハイブリッド電気自動車の研究開発 ほか)
第3編 駆動系統のシステムと材料(永久磁石モータと誘導モータ;高性能磁石の最新技術 ほか)
第4編 エネルギー貯蔵、発電システムと材料技術(電動車両用エネルギー貯蔵技術とその課題;ニッケル水素電池における材料技術と課題 ほか)

著者等紹介

佐藤登[サトウノボル]
(株)本田技術研究所栃木研究所チーフエンジニア。(現)サムスンSDI Co.,Ltd.Corporate R&D Center Vice President(常務執行役員)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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