出版社内容情報
☆「病気治療」「未病治療」「健康維持」に用いられるOTC薬・機能性食品(<トクホ>)・ 健康食品の開発戦略!!
☆各項目ごとに,マクロな「市場分析」,「商品から見た市場の現状」,「消費者のニーズ」, 「開発のヒント」,「開発の進め方」を可能な限り具体的に示した。
【はじめに】
長年繁栄を享受してきた医薬品業界も,近年,その繁栄にかげりが見え始めた。企業間の合併や決算内容の悪化など,これまでには考えられなかった大きな変化が随所に見られるようになった。事態は急変をつげているといえる。
これまでの繁栄は,薬務行政の「規制」に負うところが大きく,長年の間,医薬品や医療に関する限り,その規制の多くは「聖域化」されてきた。この聖域の中で業界全体がぬくぬくと繁栄を謳歌してきたのが実体といえよう。この大きな壁も「医療費の抑制」「規制緩和」「国際化」の流れの中で,ようやく崩れかけているのが現状であり,このことが業界に大きな「かげり」をもたらせた元凶である。しかしながら,いかに抵抗しもがこうともこの3つの大きな底流を堰止めることは不可能であって,いかなる企業もこの流れに順応して生き延びるほかに術はない。
医薬品の市場は大きく分けて病院で使われる「医療用医薬品」と薬局・薬店で市販される「一般用医薬品」からなる。前者のシェアが約85%,後者が約15%であるが,低迷が顕著なのは,後者の「一般用医薬品」の方である。医療用医薬品が未だに「健康保険制度」という「規制の聖域」に強く庇護されているのに対して,「一般用医薬品」の場合には「聖域の崩壊」が医療用医薬品より先行して進行していることがその背景にある。
加えて,近年のデフレ不況がこの傾向を助長していることも否定できない。現在は,「安くなければ売れない」が,このことは価格競争の激化による売上げと利益の低落傾向に拍車をかけ,結果的に企業業績の低迷をもたらしている。また,一方では,「自腹」をきって購入する一般用医薬品の場合には,消費者の「買い控え」の影響をもろに受け,これが企業業績の低迷につながっているといえる。この点,患者の一部負担があるとはいえ基本的には「タダ」の医療用医薬品とは対照的な結果を示している。
以上,一般用医薬品を取扱っている企業にとっては,きわめて悪いデータや悪い環境しかない,これが残念ながら現状である。このような逆風の中で業績を伸ばしていくのは至難のことではあるが,視点をかえると逆風の中にもわずかながら順風と見受けられる流れは存在する。この流れを大事にし「育て・大きくする」ことが各企業の業績を回復し,ひいては業界全体の発展にもつながっていくといえる。
1つは健康維持を目的としたサプリメントや機能性食品という分野の成長があげられる。この分では,治療を目的とした「オルターナティブ」の商品群も欧米では続々と待機し,これらの日本市場への投入の動きを食い止めることはできないであろう。
また,現在の医薬品は「治療」を目的としたものが殆どであるが,「未病」や「病気予防」を目的とした医薬品は今後の大きな発展分野である。この分野における新製品の開発に注力すべきこと,これが2つめの追風である。
3つめには,切れ味の鋭い治療薬を市場に投入することがあげられる。上に述べたように,一般用医薬品の売上げは低迷する一方で医療用医薬品の売上げは増加を享受しているが,この理由の1つとして「健康保険制度」の庇護の有無を上げたが,一方では,メーカー側の努力不足を指摘することもできる。消費者のニーズをこまかく把握・認識・分析し,これらを市販薬に繁栄してきたかどうか,という点である。たとえば,風邪薬の場合,市販薬では「鼻みず・鼻づまり・くしゃみ」「せき・たん」「のどの痛み」「総合感冒薬」「風邪の栄養ドリンク剤」「のどのケア製品」など症状別にきめ細かな商品ラインアップで対応し,その結果,この分野での一般用医薬品のシェアは「20%」を示す一方で,きめ細かな症状別の対応がない胃腸薬ではシェアが「11%」と低迷しているのである。
症状別にきめ細かな商品を投入することと,各症状に対して効果の高い成分を投入することによって一般用医薬品のリピーターやファンを開拓していく努力こそ求められているといえよう。
薬局・薬店の商品を取り扱う企業は,今後,以上の諸点を踏まえて,新製品を開発することが望まれよう。すなわち,
(1)医薬品・サプリメント・機能性食品の境界を取払って商品戦略を策定し,新製品を市場に投入する。
(2)「未病」「病気予防」の領域に参入する。
(3)インパクトの強い治療薬を市場に投入する。
本書は,今後の薬局が担うべき機能を「病気治療」「未病治療」「健康維持(病気予防)」とし,これらの観点から薬局で品揃えされる商品を開発するうえで重要な情報やヒントを提供することを目的として著したものである。そのために,源jきょうの商品分析と消費者のニーズに基づいて「現状では何が欠けているか?」「現状に何が求められているか?」の視点をなによりも重視することとした。
そのために,全編を通してマクロ的な「市場分析」「商品から見た市場の現状」「消費者のニーズ」を行い,これによって「開発のヒント・ポイント」と「開発を進める方法」を可能な限り具体的に示した。
本書の構成は,第2章を「未病の治療・健康維持(病気予防):体全体のケア」,第3章を「未病の治療・健康維持(病気予防):内臓ごとのケア」とし,第4章を「治療薬」とし,全編を通して「医薬品」「サプリメント」「医療雑貨」を幅広く取り上げた。
本書によって,多くの企業が新商品を開発し,業績を伸ばすとともに,一人でも多くの人が健康を維持回復できれば,筆者の幸甚このうえない。
2003年10月 佐川良寿
<著者略歴>
1965年,京都大学薬学部(薬剤学教室)卒業,塩野義製薬(株)に入社。
一貫して研究開発に従事し,製剤の新技術と製造法の開発・製造標準の設定・製剤設計などを担当。
1985年,バイエル薬品(株)に入社,工場管理・QC活動・統計手法の応用などを担当。
現在,技術系コンサルタント(神戸経営プラン㈱代表取締役),薬剤師・薬学博士。論文・学会発表・特許多数。
主な著書に,『統計解析の実践手法』『薬局で売っている薬がわかる事典』(日本実業出版社),『医薬品製剤技術』(㈱シーエムシー出版)。
【構成および内容】
はじめに
第1章 総合戦略
1.健康産業市場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.時代背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
2.1 規制緩和
2.2 高齢化社会
2.3 高い有訴者率
2.4 強い健康志向
3.戦略の要諦 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
第2章 病気予防(身体全体のケア)・未病治療に用いられる健康商品の開発戦略
1.代謝の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
1.1 市場分析(生産高・受療率・有訴率・患者数)
1.2 商品から見た市場の現状
1.3 消費者のニーズ
1.4 開発のヒント
1.5 開発の進め方
2.血行の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
2.1 市場分析(生産高・受療率・有訴率・患者数)
2.2 商品から見た市場の現状
2.3 消費者のニーズ
2.4 開発のヒント・ポイント
2.5 開発研究の進め方
3.ストレスの調節 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
3.1 市場分析
3.2 商品から見た市場の現状
3.3 消費者のニーズ
3.4 開発のヒント・ポイント
3.5 開発の進め方
4.活性酸素の除去 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
4.1 市場分析
4.2 商品から見た市場の現状
4.3 消費者のニーズ
4.4 開発のヒント・ポイント
4.5 開発研究の進め方
5.栄養補給 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52
5.1 市場分析
5.2 商品から見た市場の現状
(1)脂肪過多を解消するための関連商品(脂肪の燃焼促進タイプ)
(2)野菜不足を解消するための関連商品
(3)塩分過多を解消するための関連商品
(4)「朝食をとる」ための関連商品(カロリー計算した携帯食)
(5)「早食いをしない」ための関連商品(満腹感を得られる商品&血糖値の急上昇を押さえる商品)
(6)総合ビタミン類の補強
(7)総合ミネラル類の補強
(8)総合アミノ酸類
5.3 消費者のニーズ
5.4 開発のヒント
5.5 開発の進め方
6.疲労回復・スタミナアップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58
6.1 市場分析(生産高・受療率・有訴率・患者数)
6.2 商品から見た市場の現状
6.3 消費者のニーズ
6.4 開発のヒント・ポイント
6.5 開発の進め方
7.美 肌 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
7.1 市場分析
7.2 商品から見た市場の現状
7.3 消費者のニーズ
7.4 開発のヒント・ポイント
7.5 開発研究の進め方
8.ダイエット ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79
8.1 商品から見た市場の現状
8.2 消費者のニーズ
8.3 開発のヒント・ポイント
8.4 開発研究の進め方
9.筋肉強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88
9.1 商品から見た市場の現状
9.2 消費者のニーズ
9.3 開発のヒント・ポイント
9.4 開発の進め方
10.骨格の強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91
10.1 商品から見た市場の現状
10.2 消費者のニーズ
10.3 開発のヒント・ポイント
10.4 開発の進め方
第3章 病気予防(内臓ごとのケア)・未病治療に用いられる健康商品の開発戦略
1.胃のケア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97
1.1 市場分析
1.2 商品の動向から見た開発の方向(商品分析)
1.3 消費者のニーズから見た開発の方向
1.4 開発のヒント・ポイント
(1)胃腸のサプリメント(医薬部外品を含む)
(2)症状別のきめ細かな対応
(3)胃と腸の連動を考慮する
(4)剤形;ゼリー・チュアブル・ドリンク
(5)胃の健康茶(健康食品でなければ医薬部外品でもよい)
(6)「より安く・より明確な機能」であること
1.5 開発の進め方
2.腸のケア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・111
2.1 商品から見た市場の現状
(1)医薬品
(2)健康食品
2.2 消費者のニーズ
2.3 開発のヒント・ポイント
(1)症状別のきめ細かな対応
(2)総合的な腸の薬
(3)新規の乳酸菌製剤の開発
(4)症状・使用態様に対応したきめ細かな剤形
(5)パッケージ型商品のラインアップと営業ツール
2.4 開発の進め方
3.肝臓のケア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・122
3.1 市場分析
3.2 商品から見た市場の現状
3.3 消費者のニーズ
3.4 開発のヒント・ポイント
(1)検査薬・機器の開発
(2)医薬品とサプリメントの開発
(3)サプリメントなど(2日酔い対策・休肝用サプリ)
3.5 開発研究の進め方
4.心臓のケア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130
4.1 市場の現状
4.2 商品から見た市場の現状
(1)心筋の強化
(2)神経伝達系の強化
(3)血管系の強化
4.3 消費者のニーズ
4.4 開発のヒント・ポイント
(1)診断用機器
(2)全般的なメンテナンス
4.5 開発研究の進め方
5.腎臓のケア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・135
5.1 市場分析
5.2 商品から見た市場の現状
5.3 消費者のニーズから見た開発の方向
5.4 開発のヒント・ポイント
5.5 開発の進め方
6.肺のケア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・140
6.1 市場分析
6.2 商品から見た市場の現状
6.3 消費者のニーズ
6.4 開発のヒント・ポイント
6.5 開発の進め方
7.膵臓のケア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・144
7.1 市場分析
7.2 商品から見た市場の現状
7.3 消費者のニーズ
7.4 開発のヒント・ポイント
7.5 開発の進め方
第4章 病気治療に用いられるOTC薬の開発戦略
1.風邪ぐすり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・147
1.1 市場分析
1.2 商品から見た市場の現状
1.3 消費者のニーズ
1.4 開発のヒント・ポイント
(1)スイッチOTC薬
(2)新剤形
(3)マスクなどの関連商品
(4)免疫力アップの商品
(5)免疫力の検査紙
(6)粘膜強化
1.5 開発研究の進め方
2.鎮痛剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・152
2.1 市場分析
2.2 商品から見た市場の現状
2.3 消費者のニーズ
2.4 開発のヒント・ポイント
2.5 開発の進め方
3.鎮静剤・催眠導入剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・155
3.1 市場分析
3.2 商品から見た市場の現状
3.3 消費者のニーズ
3.4 開発のヒント・ポイント
3.5 開発の進め方
4.滋養強壮剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・159
4.1 市場分析
4.2 商品から見た市場の現状
4.3 消費者のニーズ
4.4 開発のヒント
4.5 開発の進め方
5.ビタミン剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・162
5.1 市場分析
5.2 商品から見た市場の現状
(1)外用剤の動き
(2)複合化の動き
5.3 消費者のニーズ
5.4 開発のヒント・ポイント
(1)症状別の製剤
(2)活性型の製剤
(3)複合型の製剤
(4)剤形
5.5 開発研究の進め方
6.ミネラル剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・171
6.1 市場分析
6.2 商品から見た市場の現状
6.3 消費者のニーズ
6.4 開発のヒント
(1)総合ミネラル製剤
(2)機能性商品
(3)製剤の型
6.5 開発研究の進め方
7.コレステロール・中性脂肪を低下させる薬 ・・・・・・・177
7.1 市場分析
7.2 商品から見た市場の現状
7.3 消費者のニーズ
7.4 開発のヒント・ポイント
7.5 開発の進め方
8.血圧を低下させる薬 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・180
8.1 市場分析
8.2 商品から見た市場の現状
8.3 消費者のニーズ
8.4 開発のヒント・ポイント
8.5 開発の進め方
9.血糖値を低下させる薬 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・183
9.1 市場分析
9.2 商品から見た市場の現状
9.3 消費者のニーズ
9.4 開発のヒント・ポイント
9.5 開発を進める方法
10.肝臓薬 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・186
11.目 薬 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・187
11.1 市場分析
11.2 商品から見た市場の現状
11.3 消費者のニーズ
11.4 開発のヒント
(1)目 薬
(2)ドリンク
(3)内服医薬品
(4)サプリメント
(5))シート状製品
(6)機器類
11.5 開発の進め方
12.水虫薬 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・194
12.1 市場分析
12.2 商品から見た市場の現状
12.3 消費者のニーズ
12.4 開発のヒント・ポイント
12.5 開発の進め方
13.傷薬・消毒薬 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・196
13.1 市場分析
13.2 商品から見た市場の現状
13.3 消費者のニーズ
13.4 開発のヒント・ポイント
13.5 開発の進め方
14.打ち身・打撲・パップ剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・199
14.1 市場分析
14.2 商品から見た市場の現状
14.3 消費者のニーズ
14.4 開発のヒント・ポイント
14.5 開発の進め方
15.痔の薬 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・202
15.1 市場分析
15.2 商品から見た市場の現状
15.3 消費者のニーズ
15.4 開発のヒント・ポイント
15.5 開発の進め方
16.アミノ酸製剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・205
16.1 市場分析
16.2 商品から見た市場の現状
(1)総合アミノ酸
16.3 消費者のニーズ
16.4 開発のヒント・ポイント
16.5 開発研究の進め方
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