形状記憶合金の特性と応用展開

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形状記憶合金の特性と応用展開

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  • サイズ B5判/ページ数 260p/高さ 27cm
  • 商品コード 9784882312949
  • Cコード C3058

出版社内容情報

★  引き続き活発な形状記憶合金の実用新案申請!
★  実用特性研究と特性評価および応用設計等を詳説!
★  32種におよぶ形状記憶合金応用製品の開発状況!




  刊行のねらい

 近年、センサーやアクチュエータとして機能するスマート材料の開発が盛んであり、このような材料を用いたスマート機械システムの開発が、将来の産業基盤の構築に不可欠なものとして注目されている。スマート材料のなかで開発が最も進んでいるものの一つが形状記憶合金である。
 形状記憶合金の実用材としての開発・実用化は、1980年代に入ってから急速に進められ、毎年1000件以上の特許および実用新案の申請が行われてきた。その後、ブームも一時沈静化したかの感もあったが、水面下では応用開発は引き続き活発に行われており、現在でも医療用を中心にして、毎年800件以上の特許申請が行われている。
 本書では、形状記憶合金をスマート機械システムに応用するために、最も重要な実用特性の研究や、応用分野の拡大が材料に対して要求するようになってきた特性評価と、新たな製造プロセスの開発および応用設計について、最新の開発状況とトピックスを紹介するとともに、形状記憶合金を使用した製品の応用の現状、可能性などをまとめるものである。
 本書は、企業で応用開発に携わる技術者およびスマートシステム、マイクロマシン、複合材料等の形状記憶合金が入り込んだ多方面の研究者、大学の材料系、機械系、電気系の学生、教官にとって必携の書となることを確信している。


  執筆者一覧(執筆順)

宮崎修一    筑波大学 物質工学系 教授 
細田秀樹    筑波大学 物質工学系 講師 
戸伏壽昭    愛知工業大学 工学部機械工学科 教授 
佐久間俊雄   (財)電力中央研究所 金属材料部 上席研究員 
三角正明    成蹊大学 工学部 機械工学科  教授
三田俊裕    東京工科大学 工学部 機械制御工学科 講師
浅岡照夫    東京電機大学 理工学部 知能機械工学科 教授 
星屋泰二    日本原子力研究所 大洗研究所材料試験炉部ホットラボ課 課長 
木村雄二    工学院大学 工学部 環境化学工学科 教授 
大方一三    (株)パイオラックス メディカルデバイス 社長 
服部修次    福井大学 工学部 機械工学科 教授 
田中喜久昭   東京都立科学技術大学 工学部 航空宇宙システム工学科 教授 
徳田正孝    三重大学 工学部機械工学科 教授 
河井昌道    筑波大学 機能工学系 助教授 
吉田総仁    広島大学 工学部 第1類(機械系) 教授 
城山魁助    (株)古河テクノマテリアル 特殊金属事業部 
山内 清     (株)トーキン 商品開発部 技術部 部長 
松本 實     東北大学 素材工学研究所 講師 
相場 満     関東特殊製鋼(株) 技術部 研究開発グループ 
京極秀樹    近畿大学 工学部 機械システム工学科 教授 
海江田義也   科学技術庁 金属材料技術研究所 チームリーダー 
岩井博久    (株)古河テクノマテリアル 特殊金属事業部 第2製造部 
堀川 宏     (株)古河テクノマテリアル 特殊金属事業部 第2製造部技術開発課 課長 
石井 崇     相互発條(株) 新製品開発部 
岡部永年    愛媛大学 工学部機械工学科 機械システム講座 教授 
浜野俊雄    日本発条(株) ばね生産本部 設計部 
守護嘉朗    大同特殊鋼(株) 技術開発研究所 主任部員 
足立幸郎    阪神高速道路公団 工務部設計課 
服部成雄    (株)日立製作所 原子力事業部 副技師長 


  構成および内容

はしがき                               (編集者一同)

第1章 基本特性                      細田秀樹 宮崎修一
 1 形状記憶合金の種類
 2 形状記憶効果と超弾性
  (メカニズム,変形挙動,二方向SME)
 3 記憶処理と形状記憶特性
 4 結晶学的特性
  (マルテンサイト変態,R相変態,熱力学特性,単結晶)

第2章 疲労特性
 1 サイクル効果による機能劣化                    戸伏壽昭
  1.1 一定温度での負荷・除荷による力学特性
   1.1.1 マルテンサイト変態領域での設定
   1.1.2 R相変態領域での特性
  1.2 一定応力での加熱・冷却による熱サイクル効果
  1.3 変態開始および終了の条件に対するサイクル効果
  1.4 コイルバネのサイクル効果
   1.4.1 回復力
   1.4.2 回復伸び
  1.5 熱・力学サイクル                        佐久間俊雄
   1.5.1 はじめに
   1.5.2 熱・力学サイクル試験法
   1.5.3 変態温度
   1.5.4 二方向ひずみ、非回復ひずみ
   1.5.5 変態応力、回復応力
   1.5.6 ひずみエネルギー
 2 線材の回転曲げ疲労                         戸伏壽昭
  2.1 基本的な疲労特性
  2.2 繰返し速度が異なる場合の疲労特性
  2.3 試験雰囲気の疲労寿命に対する影響
  2.4 形状記憶熱処理温度の疲労特性への影響
  2.5 疲労試験中の試験片の温度上昇
  2.6 低サイクル疲労寿命の定式化
    (1) ひずみ振幅への依存性
    (2) 温度への依存性
    (3) 空気中における温度上昇の繰返し速度への依存性
    (4) 空気中での温度への依存性
    (5) 計算結果および考察
 3 コイルばねの疲労                    三角正明 三田俊裕
  3.1 形状記憶合金(Shape Memory alloy, SMA)コイルバネ
  3.2 コイルばねの大変形
  3.3 SMAコイルばねの疲労試験
  3.4 Ti-Ni SMAコイルばねの疲労特性
  3.5 疲労強度の改善
  3.6 排出仕事量
  3.7 SMAコイルばねの疲労破壊様相
 4 熱・力学サイクル疲労 佐久間俊雄
  4.1 はじめに
  4.2 疲労破面
  4.3 負荷応力と残量ひずみ
  4.4 統一的評価法
  4.5 疲労寿命に及ぼす影響因子

第3章 耐環境特性
 1 水素                                  浅岡照夫
  1.1 はじめに
  1.2 Ti-Ni形状記憶合金の水素吸収
  1.3 変態温度と機械的性質、形状記憶性に対する水素の影響
  1.4 おわりに
 2 中性子線                               星屋泰二
  2.1 はじめに
  2.2 変態特性に及ぼす中性子照射の影響
   (1) 変態特性と照射後焼鈍
   (2) 変態特性と損傷回復
  2.3 変形挙動に及ぼす中性子照射の影響
   (1) 変形挙動と中性子フルエンス
   (2) 変形挙動と照射後焼純
   (3) 高温変形挙動と加工硬化係数
   (4) 変形挙動と格子不安定性
  2.4 中性子照射下の損傷回復
 3 腐食                                  木村雄二
  3.1 はじめに
  3.2 形状記憶合金の腐食特性
  3.3 腐食特性の表面性状依存性
  3.4 腐敗特性に対するCu添加の効果
  3.5 おわりに
 4 生体適合性                              大方一三
  4.1 はじめに
  4.2 重金属の生体への影響
  4.3  i-Ni形状記憶合金
  4.4 生物学的評価のガイドライン
   (1) 細胞毒性試験
   (2) 感作性試験
   (3) 遺伝毒性試験
   (4) 発熱性物質試験
 5 キャビテーション壊食                        服部修次
  5.1 はじめに
  5.2 壊食試験装置と気泡崩壊に伴う衝撃力
  5.3 TiNi形状記憶合金

第4章 力学解析
 1 熱・力学挙動の連続体力学                   田中喜久昭
  1.1 はじめに
  1.2 形状記憶合金のモデリング-1
  1.3 形状記憶合金のモデリング-2
  1.4 形状記憶合金のモデリング-3
  1.5 形状記憶合金のモデリングに関連したコメント
  1.6 変態と変形の統一的枠組み
 2 多軸応力下の挙動                         徳田正孝
  2.1 はじめに
  2.2 多軸応用と形状記憶合金
  2.3 形状記憶合金の多軸負荷実験
   (1) 比例負荷実験
   (2) 非比例負荷実験
  2.4 まとめ
 3 複合材料の力学特性                        河井昌道
  3.1 SMA複合材料の解析設計
  3.2 SMA複合材料の利用方法
  3.3 SMA構成モデル
  3.4 複合材モデル
   (1) Chamisモデル
   (2) Mori-Tanakaモデル
   (3) Aboudiモデル
  3.5 SMA複合材料の熱・力学挙動に関する基礎解析
   3.5.1 単独解析
   3.5.2 多軸解析
  3.6 おわりに
 4 逆解析による力学パラメ-タの同定                吉田総仁
  4.1 形状記憶合金の熱・力学的挙動と構成式
  4.2 逆解析による材料パラメータ同定法
  4.3 形状記憶合金の構成式中のパラメータ同定

第5章 製造・加工法
 1 製造・加工の流れ                          城山魁助
  1.1 はじめに
  1.2 Ti-Ni合金の製造加工技術
  1.3 溶解・鋳造
  1.4 塑性加工
  1.5 成形および記憶処理
  1.6 応用加工
  1.7技術の現状と将来
 2 高周波溶解                                山内 清
 3 アーク溶解                                 松本 實
  3.1 はじめに
  3.2 アーク放電
   3.2.1 方式
    (1) アーク溶鉱炉
    (2) 実験室規模でのアーク溶解
   3.2.2 作製例1:TiNi
   3.2.3 作製例1:Ni2+xMn1-xGa(x=0~0.19)
 4 消耗型アーク溶解法                          相場 満
 5 粉末焼結                                京極秀樹
  5.1 はじめに
  5.2 粉末焼結による形状記憶合金の作成例
   (1) プレス成形・焼結
   (2) HIP (Hot Isostatic Pressing)
   (3) 放電焼結
  5.3 問題点と今後の課題
 6 燃焼合成法                              海江田義也
  6.1 はじめに
  6.2 焼成合成法の研究史
  6.3 焼成合成法の原理
  6.4 TiNi金属間化合物の製造技術
  6.5 おわりに
 7 急冷凝固(リボン)                           松本 實
  7.1 はじめに
  7.2 方法
   (1) 急冷凝固
   (2) 単ロール法
   (3) 双ロール法
  7.3 作製例1:Ti-Ni, Ti-Ni-Cu
  7.4 作製例2:Ti-Pd-Ni
 8 スパッタ法(薄膜)                           宮崎修一
 9 圧延・線引き加工                           岩井博久
  9.1 圧延加工(薄板)
   9.1.1 はじめに
   9.1.2  板の圧延
  9.2 線引き加工                             堀川 宏
 10 ばね加工                               石井 崇
  10.1 コイリング(ばね成形)
  10.2 熱処理(形状記憶処理)
  10.3 端面研削
  10.4 検査・試験

第6章 機器の設計・開発
 1 信頼性設計                              岡部永年
  1.1 はじめに
  1.2 形状記憶合金の適用技術における信頼性工学
   1.2.1 材料技術開発における特性の数式モデル化
   1.2.2 機能変化挙動の数式モデル化
   1.2.3 機械特性損傷挙動の数式モデル化
   1.2.4 機能と構造の融合設計における信頼性工学
  1.3 おわりに
 2 材料試験評価法                           大方一三
  2.1 各種試験・評価方法のJIS規格化の現状
   2.1.1 形状記憶合金の変態点測定方法:(JISH7107)
   2.1.2 Ti-Ni系形状記憶合金線の低温引張試験方法:(JISH7103)
   2.1.3 形状記憶合金コイルばねの低温荷重試験方法:(JISH7104)
   2.1.4 形状記憶合金コイルばねの定ひずみ試験方法:(JISH7105)
   2.1.5 形状記憶合金コイルばねの定ひずみ熱サイクル試験方法:(JISH7106)
 3 コイルばねの設計                         浜野俊雄
  3.1 SMAばねの特性
  3.2 SMAばねの設計
   3.2.1 SMAばね動作特性と支配方程式
      ① 応力-ひずみ-温度関係式
      ② つりあい方程式
      ③ 変位-ひずみ関係式
   3.2.2 SMAばねの設計式
      ① 見かけ上の横弾性係数Gを求める方法
      ② SMAばねの特性方程式を求める方法
   3.2.3 SMAばねの設計例
   3.2.4 SMAばねの設計上の課題
 4 混合水栓                              守護嘉朗
  4.1 はじめに
  4.2 混合水栓の構造
  4.3 混合水栓の作動原理
  4.4 SMAばね特性
   4.4.1 SMAばね初期特性
   4.4.2 SMAばね耐久性
  4.5 おわりに
 5 免震構造設計                           足立幸郎
  5.1 はじめに
  5.2 橋梁の免震構造
  5.3 形状合金を用いた免震構造デバイスの開発と現状
  5.4 形状記憶合金板バネの免震構造への適用性
  5.5 現状における到達点と今後の課題
 6 熱エンジン                            佐久間俊雄
  6.1 はじめに
  6.2 熱エンジンの作動原理
  6.3 エンジン出力
  6.4 エネルギー変換効率と生涯ひずみエネルギー
  6.5 熱エンジンの種類と特徴
   ① クランク型エンジン
   ② 差動プーリー形エンジン
   ③ 斜板式エンジン
   ④ 往復動形エンジン
 7 原子力プラント保全                        服部成雄
  7.1 はじめに
  7.2 適用箇所と要求性能
  7.3 材料諸特性の確認
  7.4 SMA継手の信頼性と実機適用

第7章 応用展開                   大方一三  堀川 宏  山内 清
 1 形状記憶合金のバルブへの応用
  1.1 浄水器・アルカリイオン生成器用
   (1) 熱水防止バルブ
   (2) 流路切替弁(三方弁)
  1.2 24時間風呂用流路切替バルブ
  1.3 混合水栓(Af:45℃)
  1.4 炊飯器(Af:80℃)
  1.5 コーヒーメーカー(Af:65℃)
  1.6 オーチマチックトランスミッション SMAバルブ
  1.7 フューエルリターンバルブ
  1.8 新幹線駆動装置の自動油量調整ユニット(Af:65℃)
  1.9 流量調整弁(水ガバナ)(Af:22℃)
  1.10 蒸気トラップ
 2 開閉機構への応用
  2.1 エアーコンデショナーのセンサートラップ(Af:35℃)
  2.2 床下換気口(Af:12℃)
  2.3 オートドライ
 3 静的岩石破砕器
 4 超弾性効果とその応用
  4.1 ブラジャー
  4.2 超弾性アンテナ
  4.3 眼鏡フレーム
  4.4 鮎釣り用のメタルライン
  4.5 ヘッドフォン
 5 医療材料への応用
  5.1 はじめに
  5.2 医療に応用される理由
  5.3 歯科矯正
  5.4 外反母趾矯正スプリント
  5.5 血管内手術用デバイス
   (1) ステント
   (2) ガイドワイヤー
   (3) カテーテル
   (4) 大動脈フィルター
  5.6 人工歯根
  5.7 ボーンプレート
  5.8 髄内ピン
  5.9 ステープル
  5.10 能動鉗子
  5.11 マイクロマシン

内容説明

近年、センサーやアクチュエータとして機能するスマート材料の開発が盛んであり、このような材料を用いたスマート機械システムの開発が、将来の産業基盤の構築に不可欠のものとして注目されている。スマート材料の中で開発が最も進んでいるものの1つが形状記憶合金である。本書では、これらの実用特性、製造プロセスおよび応用設計に関する話題を紹介するとともに、製品の紹介を通じて応用展望を行う。いずれのテーマも、それぞれの分野の第一線で活躍している産官学の専門家が執筆し、形状記憶合金の実用的特性と製造・加工・設計・応用の全般を理解できるように編集することを意図している。本書の読者としては、企業で応用開発に携わる技術者およびスマートシステム、マイクロマシン、複合材料等の形状記憶合金が入り込んだ多方面の研究者および、大学の材料系、機械系、電気系の学生、教官、を想定している。形状記憶合金の用途開発が拡大する中で、本書の必要性は極めて高い。

目次

第1章 基本特性
第2章 疲労特性
第3章 耐環境特性
第4章 力学解析
第5章 製造・加工法
第6章 機器の設計・開発
第7章 応用展開

著者等紹介

宮崎修一[ミヤザキシュウイチ]
筑波大学物質工学系教授

佐久間俊雄[サクマトシオ]
(財)電力中央研究所金属材料部上席研究員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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