出版社内容情報
1995年のカンヌ映画祭でグランプリをとった『アンダーグラウンド』の描く世界を通じて、社会主義からユーゴ内戦の流れなど複雑に錯綜するユーゴ現代史への招待を試みる。
内容説明
社会主義の崩壊、独立宣言と「内戦」、「空爆」、そのすべてを民族対立一色で見ないでほしい!複雑に錯綜するユーゴ現代史への招待。
目次
はじめに(ユーゴスラヴィアの国と人々;ユーゴ崩壊の原因は民族問題ではない)
第1章 四つのユーゴスラヴィア(自ら死滅した国家ユーゴスラヴィア;国民統合のユーゴ ほか)
第2章 『アンダーグラウンド』のあらすじ(第1部・戦争;第2部・冷戦 ほか)
第3章 『アンダーグラウンド』の世界(いくつかのシーン;映画全体を観た感想)
第4章 セルビアと七四年憲法体制(経済危機、制度と現実;コソヴォ問題と体制批判 ほか)
終章 「内戦」をとりまく構図(路線対立から民族(国民)対立へ―九一年六月の再現
「勝ち組」か「負け組」か―生存競争の中でつくられる民族(国民)対立 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kaorie
8
2人のユーゴスラヴィア研究家の対話形式で、映画「アンダーグラウンド」のストーリーを交えつつ、ユーゴスラヴィアの歴史、崩壊に至った経過を解説した1冊。「アンダーグラウンド」という映画を文字で解説してしまうと、とても陳腐に感じられてしまい、映画の良さが伝わらないし、ユーゴの歴史を語りたいのか、「アンダーグラウンド」を語りたいのか、よく分からないのが残念。もう少しユーゴの歴史や政治を掘り下げて、映画のあらすじの比重を軽くした方がよかったのではないかと思う。ただ著者お二方によるユーゴ史の解説はとても興味深い。2014/10/07
保山ひャン
3
エミール・クストゥリツァ監督の「アンダーグラウンド」とヨーヴィチの論を主に取り上げながら、ユーゴスラビアの崩壊を考える。浅田彰とジジェクの対談で語られた「ユーゴの民族対立はポスト冷戦型の戦争の原形」が興味深い。あとがきにはユーゴの社会主義崩壊、国家崩壊、内戦を民族対立一色で見てほしくない、と書いてあった。このあたりの歴史などをもっと詳しく知りたい。2017/02/07
キミ兄
2
映画批評というよりは映画を酒の肴にして学者が薀蓄を傾ける本。ユーゴ各国の経済力の差など資料として使えるものも多い。ただ語り口は理論的に過ぎ民衆に寄り添う感じがまったくないのでかなり鼻に付く。☆☆。2018/08/03
あなた
0
こういうおいしい企画をたちあげながらなぜきちんと映画を読解しない?映画学に関する知見があまりに貧困すぎ。がっかりしちゃったよ。生徒の映画の感想なんていらんちゅうねん。筆者に向けて最後にひとこと:ほんたうにちゃんと『アンダーグラウンド』を観ましたか?2009/07/10
KBTM
0
エミール・クストリッツァの名作映画「アンダーグラウンド」の背景をわかりやすく説明してくれる一冊です。複雑なユーゴスラビアの状況が、日本人の視点から語られているのでとても興味深かったです。2019/03/14
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