出版社内容情報
本書は、九人のアメリカを代表する劇作家が描いた「演劇」と「映画」を通じて、希望と苦悩に満ちた若き巨人といえる《アメリカ》の素顔に肉迫する。生きた人間が舞台とスクリーンの上に登場する「アメリカン・シアター」を語ることで、アメリカ的な特質である「アメリカの夢と現実」を展開するだけではなく、この現象がなぜ起きるのかを、歴史・文化・人種・宗教・セクシュアリティーから探り、分析するのだ。「アメリカン・シアター」は、生きた人間を登場させてはいるが、しょせんは作りものの「嘘の世界」。しかし、劇作家の目を通して、アメリカの本音を写し出す鏡になりうる媒体でもある。皮肉にも、人は嘘の世界において心おきなく本音を語る。この意味で、「アメリカン・シアター」では、アメリカの人々が他国の人には容易には見せない隠された素顔を見せ、語ることの少ない本音を聞かせる、という興味と利点がある。
内容説明
偏見、呪われた女陰、拝金主義、モラルとリビドーの葛藤…。9人の劇作家たちにアメリカ的な特質ともいえる「夢と現実」を見出し、人種・歴史・宗教・セクシュアリティーから大胆かつ精細に分析。人間は“嘘”の世界においてこそ本音を語る。隠されたアメリカ人の素顔。
目次
スーザン・グラスペル―女性・抑圧・偏見
ユージン・オニール―呪われた女陰に呑み込まれたオニール
ジョージ・カフマン―拝金主義批判序説
エルマー・ライス―ユダヤ系作家のカメレオン性
ウィリアム・インジ―ピューリタン的モラルとリビドーの葛藤
クリストファー・デュラン―暗い文学の伝統と純粋な悩める魂
ランフォード・ウィルソン―実験的精神に満ちた演劇作法
サム・シェパード―アイデンティティーの不安と探求
デビッド・マメット(フェミニズムの台頭に苦悩する男たち;男根中心主義がはびこるビジネス界の堕落したモラル)
著者等紹介
清水純子[シミズジュンコ]
1954年東京生まれ。立教女学院小、中、高等学校、東京女子大学英米文学科卒業。日本興業銀行外国為替部勤務を経て、東京女子大学大学院修士課程、法政大学大学院博士後期課程、シドニー工科大学大学院修士準備課程修了。専門はアメリカ演劇、英米映画、英米文学、応用言語学。法政大学、玉川大学、慶応義塾大学などの非常勤講師である
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