出版社内容情報
「雑誌」から覗くE・A・ポーの創造世界。大衆読者層の出現により、出版がひとつの産業となった1830〜40年代のアメリカ。文学が「商品」となり、大衆に売れることが最優先された時代、編集者でもあったポーは、生涯、自分自身の「雑誌」を発刊することを追い求め、「雑誌文学」を芸術の域にまで高めようと格闘していた……。自らを「マガジニスト」と呼んだポーの作品を、雑誌との関わりで読み直す意欲的な論文集。図版多数。
【収録内容】
序論 ポーと雑誌文学
▼第Ⅰ部 ポーの推理とジャーナリズム
▼第Ⅱ部 ポーの文壇批評
▼第Ⅲ部 ポーと女性たち
【主に論じられる作品】
「モルグ街の殺人」、「黄金虫」、「盗まれた手紙」、「マ リー・ロジェの謎、」「署名」、「メルツェルの将棋指し」、「 オムレット公爵」、「名士の群れ」、「悪魔に首を賭けるな 」、「シンガム・ボッブ氏の文学と生涯」、「ベレニス」、「モ レラ」、「ライジーア」、「長方形の箱」、「楕円形の肖像」 ほか。
内容説明
終生、雑誌と深く関わり、自らを「マガジニスト」と呼んだポーの創作の原点に迫る。「雑誌」から覗くエドガー・アラン・ポーの創造世界。
目次
ポーと雑誌文学
第1部 ポーの推理とジャーナリズム(大衆と芸術の狭間―「モルグ街の殺人」「黄金虫」「盗まれた手紙」;ジャーナリズムと美女の憂鬱―「マリー・ロジェの謎」;推理する編集者の新たな試み―「署名」「メルツェルの将棋指し」)
第2部 ポーの文壇批評(鼻高紳士は卵料理がお好き―「オムレット公爵」「名士の群れ」;パロディとしての教訓物語―「悪魔に首を賭けるな」;アメリカ文壇を斬る―「シンガム・ボッブ氏の文学と生涯」)
第3部 ポーと女性たち(多重基準な女性観―「ベレニス」「モレラ」「ライジーア」;無視され続けた短編―「長方形の箱」「楕円形の肖像」;『グレアムズ・マガジン』の女性寄稿者たち)
著者等紹介
野口啓子[ノグチケイコ]
現在:津田塾大学助教授。著書に『E.A.ポーの短編を読む』(共編著、勁草書房、1999)/『ヒロインから読むアメリカ文学』(共著、勁草書房、1999)/『アメリカ小説の変容』(共著、ミネルヴァ書房、2000)。訳書にマドンナ・コルベンシュラーグ『眠れる森の美女にさよならのキスを』(共訳、柏書房、1996)
山口ヨシ子[ヤマグチヨシコ]
現在:神奈川大学教授。著書に『E.A.ポーの短編を読む』(共著、勁草書房、1999)/『ヒロインから読むアメリカ文学』(共著、勁草書房、1999)/『ジェンダー・ポリティクスのゆくえ』(共著、勁草書房、2001)。訳書にイーディス・ウォートン『歓楽の家』(共訳、荒地出版社、1995)
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