内容説明
地中海沿岸、イリュリア。二組の夫婦の絡み合う愛―行き交う欲望、そして苦悩。２０世紀アメリカ文学の最も急進的な作家、ジョン・ホークスが描く愛の長編物語。仏「最優秀外国図書賞」受賞作。
著者等紹介
ホークス，ジョン［ホークス，ジョン］［Ｈａｗｋｅｓ，Ｊｏｈｎ］
１９２５‐９８。アメリカにおいて戦後に出現した実験的な作家の中でも、ジョン・バースやトマス・ピンチョンと並んでもっとも急進的といえる作家。現代人の深層心理の探求と、日常性から解放された言語による心象世界の構築を目指す作風は、後につづく多くの若い作家たちの心をとらえ、“Ｗｒｉｔｅｒ’ｓ Ｗｒｉｔｅｒ”（「作家好みの作家」）として賛辞を受けてきた
迫光［サコヒカル］
１９６４年、東京生まれ。東京大学卒業
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感想・レビュー
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Ecriture
4
血の果実、ブラッド・オレンジ。美しいピンクの果肉に血の残酷性が共存するオキシモロン。地中海沿岸イリュリアにて二組の夫婦が織りなす美と血のタペストリーは、性愛の詩と美的調和は痛みと不可分にあることを示している。二組の男女の構図はミルハウザー「展覧会のカタログ」と、ナルシスティックに永遠の愛を追求する中年男性と華美な語りという点ではナボコフ『ロリータ』と近い。映画化もされている。2012/09/25
