内容説明
“魔性の女”ズィーニアの正体は?人生を弄ばれた、三人の女性に執拗に取り憑くズィーニアの影が、再び三人を危機に追い込む。その結末は…。
著者等紹介
アトウッド,マーガレット[アトウッド,マーガレット][Atwood,Margaret]
1939年カナダのオタワに生まれる。オンタリオ北部やケベックで少女時代の大半を過ごし、トロント大学に入学、ノースロップ・フライのもとで英文学を学ぶ。その後、ケンブリッジ、ラドクリフ大学で英文学修士号を取得。さらにハーバード大学大学院で学んだ後に、カナダ各地の大学で教鞭を執る。処女詩集『サークル・ゲーム』でカナダ総督文学賞を受賞。詩、長編、短編小説から評論、児童書まで幅広く活動する。最新作『The Blind Assassin』(2000)でブッカー賞を受賞。評論集『サバイバル』(1972)ではカナダ文学とは何かを正面から問いかけた
佐藤アヤ子[サトウアヤコ]
明治学院大学文学部助教授。日本カナダ文学会役員。明治学院大学大学院博士課程修了。ブリティッシュ・コロンビア大学客員研究員(1991‐1993)
中島裕美[ナカジマヒロミ]
攻玉社高等学校教諭。明治学院大学非常勤講師。明治学院大学大学院博士課程修了
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アーちゃん
45
上巻は”始原””トキシック”と60年代のトニー。下巻は70年代のカリス、80年代のロズのそれぞれに全く違う嘘をつくズィーニアのエピソードと”トキシック””終焉”。結局三人の夫たちの一人は一年の後に腑抜けた状態で家へ戻り、一人は行方不明、さらに一人は死亡とある意味三者三様。一番驚いたのは上巻にもあった”トキシック”の章。まさかの展開でズィーニアの悪女ぶりがさらに明確に。とはいえラストは大団円。ズィーニアとは別に、個々の章でそれぞれの歴史がわかり面白い。毒親、イヤミスと要素てんこ盛りだが読後感は良かった。2025/04/17
星落秋風五丈原
26
上巻は三人の中で最も賢いと思われているトニーが、まんまと夫をズィーニアに奪われるエピソードまでだった。下巻は他の二人、カリスとロズのズィーニアとの関わりと二人の半生を描く。また、上巻で三人はズィーニアの幻を見る。てっきり思いが強い故の現象だと思っていたが、実はこれにも訳があった。2021/09/27
yzyk
2
面白かった!でもズィーニアがなんでそんなことしてたのかやっぱ知りたかったなー。アトウッドさんは上品。あんな裏切られ方したらすっごい悪い感情に陥ってたであろうに、過去を語る感じだったから書いてあったとは言えもっともっとひどい状況に私だったらなっていただろうなぁと。でもなんとかそこから立ち上がろうとしてきてたことに目を向けるべきってことなんすかね。女も男も結局はいっしょなんですよねー。2017/06/06
haruko
2
上下巻続けて一気に読破、と言ってもかなり部厚いので時間がかかった。しかし、とにかく面白かった。悪女のズィーニアにまんまと利用され、騙され続けて、挙げ句の果てに夫を寝盗られてしまうトニーとカリスとロズ。ズィーニアにいいように騙されて付いて行ってしまう馬鹿な夫たち、ウエストとビリーとミッチも、ズタズタにされてとんでもない事に、、騙す方が悪いのか騙される方が悪いのか登場人物ひとりひとりの過去も詳しく書かれていて、退屈させない。カナダの女流小説家今年74歳になるアトウッドの手腕に下をまく。2014/01/19
fumi
1
カナダの作家の作品はあまり読んだことがなかったけれども、同じ大陸でもアメリカみたいに殺伐していないし、移民の民族的背景もより強く残っているようで面白かった。2014/02/11