内容説明
「赤い島」マダガスカルがキリスト教を国教としたのは、わが国で「明治」が始まった翌年だった。―西欧に抗した苦難の近代史を語る。
目次
序章 赤い島
第1章 キツネザルの楽園
第2章 海賊と冒険者の砦
第3章 メリナ王朝の興隆
第4章 英国宣教師の受難
第5章 ラダマ二世の悲劇
第6章 キリスト教の勝利
第7章 西欧の強国と宰相
第8章 フランス軍の征服
第9章 植民地支配の失敗
第10章 民族独立への道程
終章 大きな島
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
著者は図書館学の研究者だが、マダガスカルへの興味が高じて、現地の図書館で苦労して文献を読みながらものしたのが、この本。「物語」と銘打たれているように、読みやすい。只、書名は「マダガスカルの歴史」となっているが、実際の内容はマダガスカルに初めて統一的な国家を樹立したメリナ王国と19世紀以後に進出してきたフランスとの関係が中心。マダガスカルはアフリカには珍しく、ヨーロッパ人がやってきた時点で既に国家を形成し、民族意識もあった。そのため、当初はインド洋にやってきたイギリスやフランスと「外交」関係を結んでいた2022/08/23
ckagami
0
図書館学が専門の著者がなぜか書いたマダガスカル通史。メリナ王国近代史が中心だが、この国の独特さはよくわかる。西洋列強が何度も接近を試みては船団全滅とか宣教師一家全滅とかがざらに起こり、西洋人懲りないな……馬鹿なのかな……と思っているうちに、御雇外国人の産業振興や軍再編、教育整備に乗じてフランスが植民地化。でもマダガスカル側もそれを許すほど一枚岩なわけではなく……。2021/08/08