内容説明
プラトニズムと東洋精神を結ぶモラルリアリズムの世界。現代イギリスを代表する女性作家、そして道徳哲学者、アイリス・マードックの無と寛容の心を多彩に読み解く。ベケット、ジョイス、イェイツなどのアイルランド作家をはじめ、シェイクスピア、サルトル、そしてフェミニズムとの関連にも言及した論考8篇。
目次
魅惑者から逃れて―マードック文学の起点
言語のオプティミズム―ベケットの『マーフィ』から生還した『網の中』のジェイク
反転する象徴とリアリズム―『砂の城』の登場人物たち
アイルランドの雨と雪―『赤と緑』エピローグとジョイスの『死者たち』
シビルの洞窟―『ブルーノの夢』にフェミニスト批評は可能か
支配と隷属における巡りの構図―戯曲『召使たちと雪』
姿なきアポロンの神託―『ブラック・プリンス』創造の秘儀
寛容と無―プラトニズムと東洋思想