目次
序章 亡命空間論ノート
第1章 都市下層の隠蔽―上野公園から寄せ場・山谷へ
第2章 寄せ場のエスノグラフィー
第3章 日系ブラジル・ペルー人労働者の社会的世界
第4章 露天商の世界とその変容―異質性の増幅装置としての都市
終章にかえて 都市エスノグラフィーを書くということ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うんとこしょ
2
社会に内部/外部という区別は存在しないが、同質化を求める国民国家のイデオロギーは内部/外部として人々を選別する。とはいえ、内部ならざる異質な存在は身体を有し、物理的に空間を占拠している。存在そのものがかかるイデオロギーと体制への異議申し立ての潜勢力である集団を、いかにして(そのイデオロギーによって構成された)市民社会から弾き出しつつ、労働市場へと労働力商品として組み込んできたか、という「隠蔽」のテクノロジーについて分析している。実証的な部分と理論的な考察のバランスが取れていておもしろかった。2020/06/23