内容説明
妻に駆け落ちされたフェヴェレル男爵が、自ら創案の教育体系にのっとって、一粒種の息子リチャードを教育しようとする父と子の物語。漱石に多大な影響を与えたとされるメレディス初期の代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
98
著者の初期の大著。伝統あるフェヴェレル準男爵家の期待の男子リチャードは友人、家人、親戚たちに囲まれて少年時代を過ごす。厳格な父親オースティンは妻に逃げられた経験から理屈一辺倒の厳しい教育方針をリチャードに課すも反発したリチャードは農家の娘ルーシーと恋仲になり二人は秘密結婚をして出奔する。父親は次第に自分の教育方針の限界を感じつつ遂に誤りに気付く…というよくある話だが最後は愕然とする結末で「えっそうなってしまうの?!」と驚いた。⇒2025/10/25
NAO
69
サー・オースティンには、妻に捨てられたという苦い過去がある。息子にはちゃんとした結婚をさせたいという強い思いは、自分が気に入った娘以外は認めないという強烈な過干渉になる。リチャードが、それを嫌って秘かに結婚してしまうと、夫婦を別居させるという暴挙に出る。それは、本当なら起きなくてもよかった悲劇を引き起こす。漱石は、「メレディスがわかるのは私とあと数人ぐらいだ」と言い、メレディスを愛読していたという。メレディスが主にテーマにしたのは、人間のエゴイズムだった。漱石は、メレディスの中に自分を見たのかもしれない2021/08/13




