内容説明
妻に駆け落ちされたフェヴェレル男爵が、自ら創案の教育体系にのっとって、一粒種の息子リチャードを教育しようとする父と子の物語。漱石に多大な影響を与えたとされるメレディス初期の代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
68
サー・オースティンには、妻に捨てられたという苦い過去がある。息子にはちゃんとした結婚をさせたいという強い思いは、自分が気に入った娘以外は認めないという強烈な過干渉になる。リチャードが、それを嫌って秘かに結婚してしまうと、夫婦を別居させるという暴挙に出る。それは、本当なら起きなくてもよかった悲劇を引き起こす。漱石は、「メレディスがわかるのは私とあと数人ぐらいだ」と言い、メレディスを愛読していたという。メレディスが主にテーマにしたのは、人間のエゴイズムだった。漱石は、メレディスの中に自分を見たのかもしれない2021/08/13