内容説明
21世紀を生き抜く新しい文学はなにか、そしてそれを語る批評パラダイムはなにか。エコクリティシズムは、テキストとテキスト、テキストと社会の意味のネットワークを、テキストと自然と土地に広げ、エコロジーの生命のネットワークの原理を批評のコンセプトとする地球時代の新しい批評である。本書は、エコクリティシズムと従来の批評制度との関連のみならず、この批評が生れた歴史的必然性、思想史的動向と出自、風景と物語の新しいレトリックの特質など、エコクリティシズムの柱となる重要な論文を集めその全容紹介を目指す翻訳論文集である。
目次
序章 緑の文学批評―エコクリティシズムとは何か
第1章 超越から退化へ―伝統的自然観の終焉
第2章 自然と沈黙―思想史のなかのエコクリティシズム
第3章 ディープ・エコロジーとポスト構造主義の出会い―意味から生命のネットワークへ
第4章 アメリカの庭の創造―アメリカ研究の見直しとグローバルな価値の創造
第5章 アメリカ・パストラルの思想―イデオロギーとしてのパストラル
第6章 聖なるフープ―エコフェミニズムと新しい物語の可能性
第7章 ピクチャレスク美学と国立公園制度―風景美学という批評制度
第8章 言語の果肉―感覚的なるものの魔術
第9章 「沈黙の春」から「地球温暖化」にいたる終末論的語り―エコロジーの言説とレトリック
第10章 エコロジー的アポカリプス―シルコーとカーソンの神話の回復と予言の文学