内容説明
「ハンセン病療養所を世界遺産に」―。かつてハンセン病患者を隔離するため瀬戸内海の離島に設けられた国立療養所・長島愛生園と邑久光明園、大島青松園で新たな運動が始まった。背景にあるのは入所者の高齢化に伴う問題の風化だ。過ちを繰り返さないため、私たちは隔離の歴史から何を学び、未来に伝えるか。瀬戸内3園から問う。反響を呼んだ山陽新聞連載が待望の単行本化!隔離の島で生きた人々の証言を記録。
目次
プロローグ 引き裂かれた家族
第1部 隔離の島
第2部 遠い春
第3部 希望求めて
第4部 光放つ人々
第5部 人間回復の橋
第6部 解放に向かって
第7部 未来へつなぐ
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茶坊主
2
販売エリアに3つのハンセン病療養所がある地方新聞の 連載記事を一冊にまとめたもの テーマは重いがきちんとした文章で 読みやすい 隔離政策による患者たちの暮らしぶりに始まり らい予防法の廃止 社会復帰 体験を語り継ぎ残す活動までを追う 患者たちの 経験は想像を絶するものだった 予防法が廃止されてからもなお、 残された家族が差別されることを恐れ 実名を名乗ることを許されなかったり 社会に出ても懸命に病歴を隠したり コロナ禍でも表面化したけど 簡単に差別やいじめに走る日本人 猛省が必要 2022/10/21
green
2
地元の新聞社がしっかりと取材して形にしたもの。熊本日日新聞社編の「検証・ハンセン病史」とともに、ハンセン病を理解するのに役立ちました。2018/10/21
rara_iuvant
1
ひたすらに重い、重すぎる。 らい病(現在はハンセン病)に罹患した人たちに対する扱い、それに(はからずも)かかわることになった家族がどういう扱いを受けてきたのか、といった側面も含め行われてきたこの病気に対する物事か新聞社の取材により詳らかにされた本。 当該の病気に対しての知識が全くなかっただけに最初は興味だけで読み進めたが、軽々なものではなかった。 人権にまで至る話なだけに、今後襟を正して向き合うべきものだということがわかった。2022/05/06
Kentaro Matsuzawa
1
ジャーナリズムの真髄を感じる。ハンセン病について恥ずかしながら全くと言って良い程に知識がなかったが、問題の深刻さを学ぶ。その中でも語り継ぐ人々がどんどん少なくなっていることは構造的とも言える課題のひとつであると思わされる。2020/04/26