内容説明
本書が取り上げる数々の備中水車谷は、撚糸用を含みながら、製粉指向が多く、「出部うどん、小坂そうめん」と古くから謳われたように麺類用製粉にその特色があった。十九世紀末にその全盛を謳歌した備中水車谷は、まさに地域近代化を推進してきた技術集団であった。本書はその伝統を偲ぶに足る―構造物の大部分は消失してしまったが―数々の水車谷への挽歌であると共に、立地移動してその里で、全国有数の麺類生産地として発展させ、また製麺機器の改良発達に努め、その副産物製菓機が新・旧菓子類の生産に大きく寄与していることへの賛歌でもある。
目次
第1章 備中水車のあゆみ
第2章 備中の水車谷
第3章 備中水車の技術と形態
第4章 備中そうめんの繁栄と水車谷
第5章 水車からモーターへ
第6章 水車に託する思い