内容説明
中学二年生の夏、著者は旧満州(中国東北部)の間島市(現・延吉)で敗戦を迎えた。楽しい生活は一気に暗転した。ソ連軍の進撃と前後して現地住民の略奪が始まり、丸裸で住む家も追われた。想像を絶する食糧難に、極寒の気候が追い打ちをかけた。家族や友人、知人が、次々と倒れていく。そして、母までも…。実体験を記した本書は、風化する戦争の悲劇を再現し、戦争とは何かを改めて問いかけてくる。
目次
開拓団から
機銃掃射
トラックよ待て
ソ連軍進駐
略奪
流浪の民へ
決死の買い出し
床下の悪夢
木枯の季節
暗黒の日々
発疹チフス
行き倒れ
祖母
“おかあちゃん”
白いバスケットの少女
慈善院
過失致死
アベック給仕
人売りの家
パンパン菓子屋
タバコ売りの悲哀
牧童
計画的犯行
墓参
便宜妻
遊郭で
間引き
夕映えの中で
四十年ぶりの墓参
後髪引かれる思いで
再び延吉へ
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- 和書
- 天つ風の音