内容説明
夭折の女性作家・樋口一葉は、今日なお鮮烈な印象を持って人々の前にある。「樋口一葉」はどのように伝えられてきたのか。また、一葉を語ることにはどのような意味があったのか。時代とともに変容してきた文化としての「一葉」の、明治から戦後にいたる軌跡をたどる。
目次
樋口一葉を問い直す
第1部 作家表象というメディア(一葉「日記」と「一葉」;ドラマの中の「一葉」;映画『樋口一葉』の射程;紀元二千六百年奉祝美術展覧会と「肖像」の一葉;「一葉」の戦中戦後)
第2部 メディアがつくる物語(『文芸倶楽部』の「にごりえ」;ラジオドラマ「十三夜」のレトリック;少年少女の「たけくらべ」;「たけくらべ」の戦後)
著者等紹介
笹尾佳代[ササオカヨ]
1979年徳島県生まれ。奈良教育大学大学院修士課程修了、同志社大学大学院博士課程修了。博士(国文学)。現在、龍谷大学文学部特別任用講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
元気!
2
「にごりえ」、「たけくらべ」などの作品が、ラジオドラマや児童書、学生演劇などのメディアに翻訳される過程で生じた変更と、当時のイデオロギーが接続されており大変興味深い。さらには作家樋口一葉をめぐる表象も日記の公開や後世に書かれた肖像画の展示などを通じて様々なアクターによって創造されている。 全体を通して、樋口一葉という明治文学の大きな柱が時代を経るごとに語り直され、様々なイデオロギーの器として機能してきたことを感じさせられた。特に戦後「たけくらべ」から吉原というモチーフが背景化されたことはおもしろい。2021/07/07
-
- 和書
- ビールのすべて