内容説明
戦後厳しく批判された“昭和十年代の佐多稲子の文業”を、“女の視点”から読み直す。それは、軍国ファシズムのみならず社会主義運動からも疎外された“女たち”の問題を鋭く問う、佐多稲子のひとつの到達点ではなかったか。
目次
第1章 “女の問題”の原点(『牡丹のある家』論―“家”に裂かれる母娘;『くれない』論―“女房”の要る夫婦)
第2章 革命運動における抹殺された“母性”(『乳房の悲しみ』論―変容する“母性”;『樹々新緑』論―“母性”との訣別 ほか)
第3章 日中戦争下の“女たち”の連繋(『女三人』論―“女たち”の連帯と分裂;『分身』論―“母”を求める「分身」 ほか)
第4章 戦争の拡大と“女たち”のゆくえ(『善良な人達』論―閉じ込め合う“女たち”;『香に匂ふ』論―「かげ膳」を据えたがる“女たち” ほか)
著者等紹介
小林美恵子[コバヤシミエコ]
1964年、東京都生まれ。日本女子大学大学院文学研究科博士課程後期満期退学。博士(文学)。日本女子大学非常勤助手
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。